エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

ブレークイーブン・インフレ率

1.ブレークイーブン・インフレ率

 ブレークイーブン・インフレ率(break-even inflation rate)とは、物価が今後どの程度上昇すると一般的に予想されているかを表すインフレ期待(inflationary expectations)を測る代表的な指標です。国債とインフレ連動債との利回りの差を数値化したもので、市場が推測する期待インフレ率を表します。この値がプラスならインフレ、マイナスならデフレを市場が期待していることになると考えます。

 ブレークイーブン・インフレ率 = (国債の利回り − インフレ連動国債の利回り)


2.物価連動債

 英国及び米国などで実際に発行されている物価連動債と固定金利債券との違いは、元本・クーポン(利息)のどちらかないし両方が発行条件に明示されている物価指数による調整を受ける点です。

 通常の長期債券の利率(長期金利)は、実質的に利息が増える分とインフレのリスクヘッジ分に分けられます。インフレ連動債の場合、元本と利率がインフレによって目減りするリスク分補填されることになっていますので(逆に、デフレによる増加分は除去されます)、利率は「実質的に利息が増える分」のみになります。したがって、この2種類の債券利率を比較することで市場の期待インフレーション率が分かると考えられています。

 例えば、10年後10000円が返済される零クーポン長期債が6139円で取引されていたとします。この場合、名目金利は年率は5%となります。一方で、10年後の返済額が「インフレ調整現在価値で10000円」であるインフレ連動債、つまり年率2%のインフレが10年間続いたとすると元本が12190になることが保証された零クーポン債が、7441円で取引されていたとします。この場合、実質金利は年率3%となります。この5%と3%の差は2%(実際は除算なので1.94%だが、減算でも近似値が出る)となります。つまり、金融市場は10年間の間に年平均2%のインフレが起きると想定していることになると考えられます。