エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

さすが薩摩藩

前回に触れた地球温暖化ガス問題が今年になって俄かに最優先課題の一つに上げられるようになってきたことについてだが、その理由の一つとして挙げられそうなのは、英国などが排出権取引における主導権を握って、得意の手数料で儲ける作戦を意図しているのかもしれないと言うことだ。Euro導入に当たっては、独逸が当時最強の中央銀行に守られた最強通貨Markを放棄することと引き換えに欧州中銀のFrank誘致に成功した。しかし、Euro流通に参加さえしていない英国が、Euro市場においてもCityの底力を発揮していることは良く知られている。今、温暖化ガス対策では、またまた、欧州において英国と独逸が最先端を争っているようなので(何と、近年新車販売ではDieselが半数を占めるところにまで及んでいるとのこと)、排出権市場を自国に持ってくると言う意図を勘繰ってしまう。

さて、話変わって、こんな記事があった。

「西郷は征韓論」を削除・鹿児島知事要請で教科書出版社

 西郷隆盛らの征韓論を記述した日本史教科書に、西郷が朝鮮との平和的交渉を目指したとする「遣韓論」も併記するよう鹿児島県の伊藤祐一郎知事から要請を受けた教科書出版社の一つが、「西郷は征韓論を唱えた」との記述を削除していたことが1日、分かった。伊藤知事が県議会で自民党県議の質問に答え、明らかにした。

 記述を変更したのは、第一学習社広島市)発行の高校向け日本史教科書。「明治初期の外交政策」の項で、「西郷隆盛らは(中略)武力を用いてでも開国させようとする征韓論を唱えた」との従来の記述を削除した。

 新たに「政府は(中略)朝鮮に開国を要求したが、拒否されたため、朝鮮への非難が高まった(征韓論)」と記述。さらに「西郷隆盛らは、1873(明治6)年、西郷を使節として朝鮮に派遣することを決定した」との内容を加えた。

 「遣韓論」併記にまで踏み込んではいないが、伊藤知事は記述変更を歓迎、「今後も郷土の偉人が正しく理解されるよう努めたい」と話した。〔共同〕(07:00)

薩摩藩は、さすがに外交巧者である。しかし、明治維新を断行した志士上がりの政治家たちが、朝鮮半島について最大の懸念材料であると考えたのは、当時の情勢を考えればごく自然な流れであったと思う。英国植民地主義の東亜細亜地域における北進と露西亜帝国主義の南下政策のぶつかりあいが各地で勃発しており、仏も加えた列強のせめぎ合いの最中で辛うじて成功裏に立ち上がった維新政府だが、朝鮮半島露西亜が進出したならば、たちまち危なくなるということは、地図を見れば誰でもわかる。朝鮮半島の住民にはたまったものでなかったかもしれないが、何らかの形で露西亜への対応が出来る体制を整えてもらわない限り、日本の指導者たちが国土と国民の生命を重大な危機にさらす恐れが大であると考えたのは、太陽が東から昇り西に沈むのと同じくらい自然な流れだったと想像する。そういう時代背景を学んだ上で、我々の先達たちがどういう判断を何故下したのか、研究することが歴史を学習すると言うことではないだろうか。

それにしても、さすが郷土の先輩を敬愛する薩摩藩。近代装備の軍隊と横井小楠等の人材を有しながら、「肥後の議倒れ」で維新に乗り遅れたのは、お隣肥後熊本藩。こちらは、「一人一党」の伝統が未だ強いのか、横井小楠知名度は今一ですが、それ故比較的空いている小楠ゆかりの「四時軒」は、なかなか風情のある良か所です。