エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

福田首相記者会見に思う

あれほど、荒れに荒れて、お先真っ暗と言う感じだった安倍政権末期から崩壊の時期の印象とは打って変わり、福田政権の船出は至って静かなものだった。予想に反してと言うか期待通りと言うか、福田新首相のそつの無い会見と質疑応答が目を引いた。これが受けたのかどうか、日経紙が最近行った世論調査でも59%と予想外に高い支持率を集めた。

外交でも、保守派の御曹司のように言われながら、中韓訪問を訪米より先に行った安倍前首相とは反対に、媚中派と陰口をたたかれているにもかかわらず、定石通り訪米を優先させるようだ(そんなことは当たり前のことで、前首相が突拍子も無かっただけのことだが...)。新首相には、これまでの所手堅さが感じられる。安定感を期待すると言っている人が多かったようにも思える街角の声をしっかり意識していると言うことなのだろう。

ただし、財政赤字問題には記者会見で一言も触れなかった。これは由々しきことだ。単年度の財政赤字に30兆円の天井を設けて、財政再建に当たることを公約に掲げたのは小泉元首相であった。お陰で19年度の財政赤字は一般会計で約25兆円まで改善したが、巨額の財政赤字を毎年垂れ流している事実はほとんど変わっていない。英国民はMrs.Thatcherの下で10年間がんばって、財政を黒字にまで改善させた。日本人は、5年で我慢が効かなくなったらしい。思うに、まともな大人の大部分は、自分たちの生活水準は少々下げてでも、将来を担う子供たちに借金を遺すようなことは回避したいと、一人一人の段階では、そう考えているに違いない。

しかし、財政再建よりは「生活が第一」と主張する民主党に乗せられてしまった。与党を構成する公明党も、財政再建より「生活が第一」に宗旨替えで基礎収支の均衡達成を先延ばししたいと言い出した。国全体としての方向は、将来の子供たちの借金をさらに増やしてでも、刹那の「生活が第一」と言うことなのだろうか。参院選挙で現政権が大敗した真の要因は、格差問題そのもの、年金問題そのものではなくて、安倍前首相その人にあった。その証拠に、もし、参院選を小泉元首相で戦っていたら結果がどうなっていたかを想像して見れば良い。財政再建の途上で、安倍政権のようなひどい内閣が登場し、格差是正大義名分で財政再建が先延ばしされつつあるのは、我が国にとって実に不幸なことだ。

大いに栄えた国も、外敵の軍事攻撃と財政の破綻によって滅亡する。国民の生命と財産を守ることが国家の本源的な存在理由である。その原理原則を分からずに「生活が第一」で本当に良いものなのか。国家が滅んでしまったら、生活も福祉も一旦無くなるのである。そんなことも想像できないようでは、日本人と日本の未来は真っ暗と言わざるを得ない。

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