エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

灼眼のシャナ−その2−

年度末は、Animeの最終回の季節でもある。戦闘萌えAnime第2季目に当たる「灼眼のシャナ?」も終了した。2季作品の主な展開としては、深まる零時迷子の謎、シャナと悠二の成長、そして、二人のFlame Haze弔詞の詠み手Margery Daw、万丈の仕手Wilhelmina Carmelの本格参入などが上げられる。その1でも触れたが、“A boy meets a girl.”の王道から逸れずにシャナと悠二の成長が今回もしっかりと描き込まれていた点と懐刃サブラクとの戦闘を描いた第20話「茜色の死闘」、第21話「合わさる力」などの戦闘場面はRobot  Anime顔負けの迫力で、なかなかに楽しめる作品になっていたと思う。

第1季の星黎殿の戦いで、遂に自身をも滅ぼす必殺技、「天破壌砕」の発動を決意するシャナ。この世と紅世(ぐぜ)の均衡をまもり、御崎市を守るために決死の覚悟をする中で心を通い合わせたシャナと悠二であったが、二人の器の大きさが 「天破壌砕」の発動にもどうにか耐え得たのか、二人は生き残る(ここで二人が心中してしまっては、どう考えても物語の進行上問題有りですから...)。生き残ってしまうと、幼い二人のこと、正直な気持ちが伝えられないまま、悠二のことが好きな吉田一美との三角関係も続いたまま二学期に突入する。

幼い頃から、炎髪灼眼のFlame Hazeになるために、“天壌の劫火”アラストールとWilhelminaに英才教育を受けて育てられたシャナは、当初「物」としてしか見ていなかったTorchである存在、坂井悠二に次第に惹かれてゆく。Flame Hazeの使命に忠実に生きることが全てだった彼女にとって、初めて抱く感情に戸惑い、恋愛感情を持て余したまま第1季で御崎市に現れたMargery Dawに勝負を挑み、ボコボコにされてしまった上、「あんた本当に炎髪灼眼?」とまで見下され、止めを刺されずに見逃される。しかし、二回戦では、Torchにされてしまった自分にできることをしようと言う思いからシャナの戦闘を援護すると決意した悠二とその悠二の存在自体が自分の力になっていることを受け入れたことで「力が湧いてくる」シャナがMargeryを圧倒する。そう、人間は他人のために頑張っているときに力が湧くことは、良くあることだ。特に好きな人のためにがんばっている時は。

第2季では、悠二を巡る三角関係で、闘志を燃やすシャナと吉田一美の前に近衛史菜という不思議な少女が現れる。彼女は急速に悠二に接近したため、シャナと吉田一美の間に同士としての友情が芽生えたのには笑えた。シャナと悠二の事情や紅世のことを知ってしまった吉田一美は、第1季ではシャナに恋愛感情の芽生えを知らしめる触媒のような役目を果たしたが、第2季で益々存在感を高めた登場人物の一人。また、近衛史菜の正体は紅世(ぐぜ)の王の一人“頂の座”ヘカテー[Hecate]の偽りの器であった。この辺りから清秋祭前後までの展開は、完全に学園ものの乗りであった。

さて、シャナを取り巻く先輩格に当たるFlame Hazeは、“蹂躙の爪牙”マルコシアス [Marchosias]のFlame Haze、Margery Daw、“夢幻の冠帯”ティアマトー [Tiamat]のFlame Haze、Wilhelmina Carmelの二人である。二人とも一見20代そこそこの美女だが、数百年を生き抜いてきたつわものなのである。萌えAnimeの面目躍如と言うことなのか、シャナを始めとする三人のFlame Hazeは、Typeを異にするが美形ぞろいで、戦闘場面も多い三人に関して絵の質を保つのはなかなか大変なことだと思うが、手抜きをしていないのがこの作品の偉いところだ。

Wilhelminaは、シャナの育ての親であり、正統派美人だが、性格は一風変わっていて、秋葉オタクの要望に応えているのか給仕服姿をしている。このMaidの格好で、巨大なリュックを背負い、ケロロ軍曹のような言葉遣いという異様と言っていい人柄。第1季では登場回数も少なかった戦うMaid Wilhelminaは、今回は当初からシャナと同居しており、自身は単なる養育係と言っているが、母親か歳の離れた姉といった存在なのだろう。シャナを愛し、使命に忠実な理想のFlame Hazeを育てることに情熱を注ぐ彼女は、シャナの中で大きくなっていく悠二の存在に未だに危惧を抱いているようだった。自身の苦い恋愛経験を踏まえて、クリスマスイブに悠二に想いを告白して吉田一美との三角関係に決着をつけると言うシャナに、今後の戦闘における坂井悠二との共闘に支障を来たしたらどうするんだと言う至極まともな苦言を呈して、どこにでもあるような母親と娘の口げんか始まるのである。

しかし、彼女の戦闘能力は、決定力に欠くとはいえ、御崎市に突然現れた宿敵サブラクとの死闘をほぼ一人で凌ぎきるほどの高度なものであった。紅世(ぐぜ)の王の中でも最強クラスと言えるサブラクの自在法Stigmaは、サブラクから受けた傷を広げ、治癒も妨げると言う厄介なものだったが、Wilhelminaは戦闘中に自らの身体を実験台に自在師ヨーハンから授かっていた未完成のStigma破りを完成させるなど、能力の高さを見せ付けていた。

蹂躙の爪牙マルコシアス [Marchosias]のFlame Haze、Margery Dawは、そんな生真面目なシャナ一家にとって、人情味はあるがやや行状の悪い隣の小母さんといった役回りか。Margeryは、Flame Hazeになった経緯から徒(ともがら)を心底憎んでおり、無差別の徒(ともがら)殺しをFlame Hazeの目的と考える。また、契約の相手マルコシアスは、戦闘狂であり、人情味はあるが下品なチンピラの如しで、当然シャナのアラストールとは反りが合わない。アラストールは、シャナの父親のような存在だが、マルコシアスとMargeryとは、長年連れ添った夫婦のような関係で、いつもは夫婦漫才風だがMargeryが一旦危機に陥った時のマルコシアスは声が完全にマジになっている。シャナと悠二に同じFlame Hazeでも全く違った生き方や価値観が存在することを示してくれる貴重な存在でもある。戦闘方法は、天才肌の自在法と格闘戦を絡めた意外に正攻法である。対サブラク戦闘時、自在法を駆使してサブラクの人形を地面ごと本体から切り離す大技をやってのけ、彼女の自在師としての能力の高さを見せ付けた。この際、止めは攻撃力と白兵戦に滅法強い炎髪灼眼の討ち手に譲る。

徒(ともがら)殺しと復讐にその全存在をかけて数百年を生き抜いてきた彼女ではあるが、御崎市での出来事を通じて、子分を守るために戦うなど彼女の方でもシャナたちの存在に影響を受けて、本来の人の良さを随所に表すようになってきているようにも思える。

なお、原作小説が存在するこの作品は、まだまだ続きがあるようだが、専用の用語サイト(http://www1.atwiki.jp/sslibrary/)がNet上に配信されているほどの人気作品らしく、Animeも第3季目が製作される可能性が高い。