エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

日本に必要な公共事業

米国のCitibankは、9.11の前後までAA以上の格付けを誇るピカピカの優良銀行だったはずだが、先月の米国発の報道、政府による実質国有化措置には正直驚いた。とはいっても、昨年来のSub-Prime問題の本質、真の標的は、Citibankの救済にあると言われていたし、株価が1ドル台まで急落していることから、市場は大方織り込み済みだったと言うことなのだろう。取りあえずこれで、金融危機の本質部分にメスが入ることになると期待してよいのではないか(と昨年末、同行に巨額の救済資金が入った時もそう思ったのだが、今回はどうだろう)。

それにしても、Bubble崩壊まで絶頂期を謳歌し、AAAやAAの格付けを誇っていた本邦の都市銀行や長信銀の記憶もまだ鮮明な世代に属する者のせいか、こういう事例を見ると金融ビジネスのはかなさを思わざるを得ない。結局、多額の報酬を受取ってさっさと逃げるという結論に到るババ抜きゲームに参加することが英米流の金融ビジネスということなのか。「儲かればそれでいい主義」の信者がババ抜きに勝てるはずがない。

はかないと言えば、1万2千円の定額給付金だ。何でこんなにも馬鹿げた政策を何の工夫もないまま、断行する必要があるんだろう。そしてその付けは、将来に回すのか。

今我が国は時代に試されている。政府の金、即ち国民の血税を使うならば、3つだけだ。

第一に、公共事業を行うとしたら、地震対策を中心にした、災害対策の実行だ。地震対策のための工事などいくらでも施す余地がある。同時に、Soft面でも、消防訓練を始め、災害訓練により多くの住民を参加させるなどして、非常時に備える意識を高めていくことにだって、金は使えるし、こういうことには必ず人手が必要だから雇用機会も増やせると思うのだが。

第二に、教育だ。もう一度、日本には人と言う資源しかないことを思い出し、その意味を噛みしめるべきだ。教育は全ての世代に必要だが、特に未来を担う人たちの育成を全ての施策に優先して行ってゆくべきだ。「ゆとり教育」は公式に誤っていたことを認め、立案者や推進者は断罪されていい。基礎教育に掛かる費用に税金を回し、優秀な教育者をより多く雇うことに金をいくら使っても、文句をいう人は少ないだろう。

第三に、雇用がこの国から逃げていくことを回避しなければならない。日本には外資など導入しなくとも、優良企業はいくらでもある。自動車を始めあらゆる製造業が、ある程度の生産を国内で行えるよう、規制を強めるとともに、賃金の実質下げにまで踏み込んだ環境を整える努力をしなければ、日本は米国のような産業空洞化の先進国になってしまう。

大事なことは、政府も国民も、そして企業さえも、戦後延々と続いてきた「儲かれば何でもいい」主義を放棄することだ。経済力は依然として重要かもしれないが、これからはそれ以上に文化が大切な要素になると言う予感がする。文化力のない判断は、一時的に経済的成功を収めたとしても、はかないものに終わるのだろう。Citibankを始め多くの巨大金融機関がそうだったように。