エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

嘘の慣性力_地球温暖化

 福島原発事故の発生以来、その発言を傾聴するようになった中部大学の武田邦彦教授が、「嘘の慣性力」という演題で、何回か動画を上げておられました。面白い内容なので、要点をまとめてみました。「嘘の慣性力」とは、国家や国際社会などの大きな共同体で、社会的な嘘が一旦流布されてしまうと、その嘘が強力な力によって止められない限り、嘘に嘘が積み重ねられて、あたかも物理学の慣性の法則が働いているかのように止まらなくなる現象を指します。

 武田教授は、「嘘の慣性力」の具体例として、お得意の地球温暖化を取り上げておられます。


1.北極の氷が解ける?

 まず、北極の氷が解けているのではないかという最初の嘘が語られました。そして、その嘘は、近年確かに冬の寒さが緩やかになっている、逆に夏は猛暑になっているのではないかという経験的な感覚と合致したために、事実と信じられるようになっていきます。しかし、真実は、北極海が毎年3月に全面結氷し、夏になると年によるばらつきはあっても一定程度解けるという現象にほとんど変化は見られていません。


2.海面の上昇?

 こうして、嘘の慣性力が働くようになると、次の嘘が語られるようになります。すなわち、北極の氷が解けると海面が上昇するのだと。ところが、氷と水は不思議な性質を持っています。普通の物質では、固体は液体よりも密度が濃いというか、同じ体積ですと液体の方が質量が軽くなるものなのですが(これは物質の基本単位の結合の仕方の問題なので、感覚的に分かります)、氷と水の場合だけは、固体の氷の方が質量が軽くなるのです。だからこそ、氷は水に浮き、そして、浮いて水面に浮かび上がっている部分が水よりも容積が増えた部分と言えます。従って、氷が解けても海面は上昇しないという結論が、初歩的な物理学から導き出されてきます。


3.南極の氷が解けて海面上昇?

 嘘の慣性力は、このくらいでは止まりません。北極とくれば、次は南極です。そして、なぜ南極の氷が解けるのかと聞かれれば、温暖化の影響で気温が上昇しているからだということになります。しかし、ここで注意すべきは、気温が上昇しても氷点下である限り氷は解けないということです。氷が解けるのは、融点を超えて気温が上昇したならばという条件付きであって、氷点下40度から氷点下30度に気温が上昇しても氷は解けないというのです。


4.珊瑚礁が沈む?

 海面上昇で珊瑚礁の島ツバルが沈むというのは、誰かの講演会で写真パネルとともに見聞きしたことがあります。あれを見せられると、温暖化→海面上昇、島国の日本も他人ごとではないと信じ込んでしまいます。しかし、その原因は温暖化で北極や南極の氷が解けるという嘘の積み重ねから導き出されているとすると、他の原因を検討することもしないで、地球温暖化の影響であると性急に結論付けているのは誤りである可能性が高くなっているのではないかと思われます。
「ガリレオ放談 第17回 始まった嘘は止まらない」