エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

嘘の慣性力_原発事故

 中部大学の武田邦彦教授は、昨年の震災によって引き起こされた福島第一原発の事故についても、「嘘の慣性力」が作用していると分析されています。


1.地震原発は壊れない?

 これまで、我が国の原子力開発においては、安全神話があり、「地震原発は壊れない」という嘘がつかれ、この嘘が慣性力を持つことになります。原発は壊れないというのが何故嘘かというと、2007年7月16日に震度6強の揺れを記録した新潟県中越沖地震柏崎刈羽原発は、壊れたからです。何をもって壊れたというか、定義が明確にはなっていませんが、昨年の東日本大震災においても、東日本に位置する原発及び火力発電所は、ことごとく壊れたのだと武田教授は主張されます。


2.福島第一原発津波で壊れた?

 震度6程度の地震では絶対に壊れないことになっている原発が、福島では何故やられたのか? その問いに対して、原発関係者がついた次の嘘が、福島第一原発地震では壊れなかったが津波で壊れたのだというものです。しかし、武田教授の示す現地の航空写真で見る限り、正面から防潮堤を乗り越えてきた津波で、海抜40メートル程度に位置するタービン建屋はほとんどやられていません。正面の津波の高さは15メートル程だったそうで、これがタービン建屋の後ろに位置する原発にまで直接届いたとは思えないのです。それでは、福島第一が水素爆発を起こした原因は何だったのか、それは、正面からの津波ではなく、防潮堤のない側面や後背から回り込んできた浸水の影響で、地下一階にあった電源が使用不能になったからだと武田教授は主張されています。

 これが真実だとすると、正面の防潮堤をいくら高く改修しても今回の事故は防げなかったことになります。このあたりの真実の解明が非常に重要ではありますが、「地震原発は壊れない」という嘘の慣性力が止められないと、なかなか話は進みそうにありません。福島第一の事故から既に一年以上が経過しているにもかかわらず、事故の正確な分析結果がいまだに出されてこないのは、原発を冷却する作業が続いていてそう簡単に原子炉にまで近づけないことの他に、嘘の慣性力が働いていることもその一因であるのかもしれません。


3.やらせメールも嘘の慣性力?

 こうして見てくると、原発の説明会などにおいて見られたやらせメール事件なども、「嘘の慣性力」が働いた事例としてとらえ直すことができ、この慣性力が働いてしまっている事象については個人の力で止めることが非常に難しいということができます。
「ガリレオ放談 第18回 原発の最初の嘘」