エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

日銀景気判断引下げと印象操作

 10月22日、日銀は支店長会議を開き、東北を除く8地域が景気判断を引き下げた「地域経済報告(さくらリポート)」を公表しました。8地域以上の下方修正はリーマン・ショック以来となる3年9箇月ぶりで、海外経済の減速長期化やエコカー補助金終了などによって輸出・生産、個人消費などが鈍化したことが背景としています。「終了後に会見した支店長からは、尖閣問題をめぐる日中関係悪化による一段の景気下振れを警戒する声が聞かれた。」とことさら支那との関係悪化に言及する記事及び報道の仕方が散見されました。

 「会議終了後に会見した支店長からは、尖閣諸島の問題をめぐって悪化している日中関係の景気への影響を懸念する声が目立った。雨宮正佳理事(大阪支店長)は近畿の景況感が「中国の政策効果に対する期待の反動や日中問題で短期間に慎重化している」との認識を示した。櫛田誠希名古屋支店長も、自動車関連を中心産業とする東海地区の状況について、すでに企業は中国での自動車販売減に応じた生産対応を始めており、「足元で影響は出始めている」と指摘。その上で、同問題について「下振れリスクとして頭に入れておく必要がある」とし、「(企業は)生産計画を微修正していかざるを得ない」と語った。

 中国人観光客の多い地域では、日中関係悪化による観光業への影響が顕在化している。北海道や北陸などからは、最近になって「中国人観光客のキャンセルの動きがみられている」、「旅行取り扱いは持ち直しているものの、中国向けが減少している」(北陸)などの報告が聞かれ、高田恭介札幌支店長は、足元の外国人観光客の減少は日中関係悪化の影響が大きいと述べ、家電などの売り上げ減少にも警戒感を示した。」(10月22日ロイターニュース)
日銀支店長会議、8地域が景気判断引き下げ 海外減速響く・日中問題も警戒

 たまたま同日に発表された日本百貨店協会の全国百貨店売上高9月は、「店舗数調整後で前年比0.2%減の4338億円と、5カ月連続マイナスになった。日中関係悪化による訪日中国人観光客の減少により、これまで前年比で30〜40%伸びていた訪日外国人売上高は同0.6%増にとどまった。10月は、さらに影響が大きくなる見通し。」と伝えています。確かに支那人観光客は減少しているのでしょうが、記事をよくよく読んでみると、「外国人観光客の百貨店売上高のうち、中国が占める割合は30%程度とみられているが、(以下省略)」ただ、百貨店協会では、外国人観光客による売上高の全体に占める割合が0.7%程度と小さいことから、ラグジュアリーブランドや化粧品などの伸びで、カバーは可能だとみている。」(10月22日ロイターニュース)
百貨店売上高は5カ月連続減、10月は中国人観光客が激減へ

 百貨店の9月売上げの記事の場合、外国人観光客が全体の売上げに占める割合はたったの0.7%です。そのうちの通常30%、国慶節の連休時季で40%が支那人とのことですから、せいぜい0.3%程度の話です。全体の売上げの0.3%程度を占める顧客の減少をことさら百貨店売上げ不振の主要因のように取り上げているのは、日銀支店長会議による景気判断引下げ報道の伝え方ともあいまって、報道機関による印象操作が行われているようなとの勘繰りをしてしまいます。