エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

柔道女子の体罰事件と東洋の魔女

 2月4日月曜日のNHKラジオ午前7時台のニュース解説で、今大問題になっている「柔道女子体罰事件」が採り上げられていました。その中で、「東洋の魔女」の称号で親しまれ、東京五輪で金メダルを獲得した女子バレー代表の1人に聞いたという話が紹介されていました。というのは、件の東洋の魔女を率いた大松監督が当時は「鬼の大松」と異名をとるほどの徹底したスパルタ式のトレーニングで世間を騒がせていたからです。解説委員が紹介したこの元代表の話では、「大松監督の指導は確かに厳しかったが、その厳しいトレーニングの意味をしっかりと選手に伝えていて、選手も納得ずくで行われ、決して体罰などはなかった。」という趣旨の内容でした。

 しかし、このような話のもって行き方は、NHK解説者の限りない無能さを示して余りあるものだと感じられました。なぜなら、自分自身がこの元代表の立場だったらと想像してみるだけでよいのです。もちろん大松監督が真の人格者で、彼女の話が真実であれば、それはそれですばらしいことです。しかし、もし体罰が行われていたとしても答えは同じになるのです。体罰があったという答えは、まずありえないことです。なぜなら、第1に、大松監督は既に鬼籍に入っておられる方で、日本人はごく普通の感情として死者を鞭打つような発言は慎むものです。第2に、体罰は行っていたと発言することは、大松監督と自ら所属した代表チームを貶める行為であり、そんなことをしても一文の得にもならないどころか、当時の仲間や関係者から非難され、村八分にされる強い虞さえ覚悟しなければなりません。従って、彼女の答えは最初から決まっていて、それは「体罰はなかった」以外には考えられないのです。

 こんな小学生にも明らかなことを採り上げて、さもわかったように解説するNHKの解説者は、少しは頭を使っているのか反省して欲しいものです。