エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

日米首脳会談の評価など

 昨秋あたりから世の中の動きは激動といってよいと思いますが、この2週間の動きも凄まじいものがありました。


1.日米首脳会談

 まずは、23日〜24日にかけての安倍首相の訪米と日米首脳会談です。首脳会談で安倍首相は、TPPが「聖域なき関税の撤廃」を意味する限り、TPP参加はあり得ないという日本の立場を説明し、米国側からの理解も得たとしています。この会談及びその後発表された共同声明で、米国自身がTPPの原則とされる「聖域なき関税の撤廃」を貫徹できなかったこと自体に大きな意味があるという主張もあります。一方で、TPPは「全ての物品が交渉の対象」されることになることが確認されたこと、米国の狙いは関税よりむしろ「非関税障壁」の撤廃にあるのに、自民党の「6条件」でも明らかに指摘されているような医療や保険などの非関税障壁を守るという点については何ら共同声明に明記されていないことなど、TPP反対論者からは、悲観的な見方が出されています。

 しかし、メルマガRPEで国際情勢分析を行う北野幸伯氏の見方は少し違っています。氏の指摘は要約すると次のようになるかと思います。

(1)安倍内閣のやるべきことは三つだけ

 安倍内閣が最優先に行わなければらないことは、①東日本大震災及び原発事故被災者の救済、並びに被災地の復興、②デフレからの脱却及び経済成長の実現、③尖閣防衛、そのために集団的自衛権行使容認の3点だけ。

(2)今回の訪米の目的

 それで、今回の訪米の目的も、「外交は内政の延長」という観点からすると、この三つの課題を解決するためということになります。

(3)安倍首相は支那との情報戦を戦っている

 日本は支那との情報戦を戦っています。論点も非常にはっきりしていて、支那は「日本は右傾化、軍国主義化している。だから、支那、米露、韓国で反日統一戦線をつくろう!」です。

 これに対し日本の主張は、「我が国は、自由民主主義国家で米国の仲間だ。支那は、人権無視の共産党一党独裁国家で、日米共通の脅威だ!」です。今回の日米首脳会談で、安倍首相が日米同盟が完全復活したと宣言したことは、情報戦に打勝つ大きな1歩だったといえます。

(4)米国はアベノミクスを支持か少なくとも容認

 シェールガス技術によって、エネルギー自給に目途をつけることに成功しつつある米国にとって、中東の重要性は相対的に低下し、代わってその重要度を高めているのは、経済成長センターである亜細亜です。しかし、米国には亜細亜で覇権を唱える支那と一国だけで対峙していけるほどの力はもはや残っていません。そこで、そのために、同盟国(日本、欧州、豪州、印度、東南亜細亜諸国など)との関係を密にし、多くの国で支那包囲網を形成しなければならないのですが、そのためには、同盟国群の「経済力」を強化し、同時に「軍事力」も強めていくという立場に移行しつつあるのです。


2.日銀総裁人事

 安倍首相は、米国から帰国後速やかに日銀総裁、副総裁候補の氏名を明らかにしました。総裁に財務省出身の黒田東彦アジ銀総裁、副総裁にリフレ派の代表格である岩田規久男学習院大学教授と日銀出身の中曽氏を指名し、国会の承認を求める考えのようです。多数決で物事が決まる日銀政策委員会の中にあって、総裁・副総裁人事に日銀出身者を1人も入れないことが求められると言われていましたが、傍流の国際金融畑とはいえ、日銀出身の中曽氏起用には一抹の不安が残りそうです。


3.伊総選挙結果に騒然とする欧州

 国政選挙が行われたイタリアの選挙開票結果は、上下両院で緊縮派と反緊縮派の勢力が拮抗し、上院で過半数を獲得する勢力が現れない状態となりました(「勝者なきイタリア総選挙、投票先割れる」)。

 イタリア経済は、GDPでEU圏の12%強を占め、何かが起こったときの影響の大きさは、ギリシャの比ではありません。Euroという社会実験の破綻はもはや時間の問題といえるかもしれません。