エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

TPP参加表明の問題点

 先週15日、安倍首相がここ数年間の最大の懸案事項の1つであったTPPへの参加を表明しました首相がTPP交渉参加表明「最善の道を実現」、GDP試算で意義強調(Reiter)TPP交渉参加表明 首相「米と新経済圏」(日本経済新聞電子版)。「聖域なき関税撤廃」の不承認と米などの農業問題に矮小化されて報じられる傾向が強いのですが、実はTPP交渉の包含する領域は多岐に渡り、特に役務提供(つまり金融分野)及び投資分野が最も重要という意見があります。

 投資分野には、ISDS条項というものがあり、これは民間企業ばかりか、個人投資家までもが国家を相手取って投資分野の非関税障壁となる規制を問題にして国際機関に訴え出ることができるというものです。もともとは投資ルールが整備されていない途上国で、先進国の投資家の利益を守るのが目的のために英国が編みだしたISDS条項でしたが、訴訟社会の背景を持つ米国がこのISDS条項を根拠に様々な訴えを起こしてくることが危惧され、その結果将来国体を護持することすら危うくなりかねない危険なものと考えられています。ちなみに近年締結された米韓FTAにおいては、韓国がこのISDS条項を受け入れた結果、昨今次のような提訴がなされていることが伝えられました。

米ファンドが韓国政府を提訴 「韓国銀の売却巡り損失」(日本経済新聞電子版)