エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

今後日本が採るべき中国政策

 歴史学碩学岡田英弘先生の「日本人のための歴史学」を読んでみました。1998年6月に開催された講演会を基に書き起こされた「21世紀、日本は中国とどう付き合うべきか」と題するくだりは、「この厄介な国との120年」という副題を伴う非常に示唆にとんだ内容となっています。

 日清戦争以来、日本人が創造した西洋文明由来の概念を表す漢語の逆輸入を始めとして、近代中国の基は実は日本人がつくったという認識を史実を検証することによって明らかにした上で、岡田先生は、次のように結論付けられています。

1.日本は中国に非常に大きい恩義を受けてきたのだ、というアプローチを止めることです。そういう事実は、全くありません。

2.今の中国をつくったのは、日本だということを認識することです。今中国にあるものは、ほとんど日本に起源がある、ということを認識するだけでも、随分話は違ってくる筈です。

3.(幕末の)開国以来、日本にとって、中国は災厄以外の何物でもなかったということです。日本は、日清、日露、満州事変、支那事変とどんどん貧乏くじを引いていって、最後は大東亜戦争に負けたのです。

4.敗戦後、日本は、大陸と関係を持たなくてよくなったことで、高度成長を成し遂げます。しかし、日本は、否が応でも、再び中国に巻き込まれざるを得ない状況になっています。こういうときに日中友好を日本の対亜細亜政策の中心に据えることは危険です。

5.中国の経済の先行きは暗澹としています。既にエネルギーも食糧も自給できない状態に落ち込んでいるのです。景気が悪い時期に一番戦争が起こりやすいことは周知の事実で、なぜなら、景気を好くするのには戦争が一番だからです。

6.中国の崩壊が近づいてくると、どうせアメリカは手を引いて、その尻拭いを日本に押し付けることは決まっているのです。しかし、日本の力では到底中国を立て直すことはできません。

 ここで、岡田先生も「私にも妙案はない」と正直に述べられ、だからこそ、「少なくとも我々は中国に対して甘い考えを持つことはやめたい」とおっしゃっておられます。この内容で講演をされたのが、21世紀を控えた1990年代後半です。私達日本人は、このような碩学の発せられた警告を10年以上も無視し続けたつけが今回ってきていると思わざるを得ないのです。