エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

NHKラジオのビジネス展望がひどい

 平日のNHKラジオ「朝一番」の中で6時45分頃から放送されているビジネス展望、今週月曜と火曜の解説は聞くに堪えないひどいものでした。8日が立教大学経済学部教授 山口義行氏、9日が経済評論家 内橋克人氏だったのですが、両者とも安倍政権が実施している経済政策「アベノミクス」批判の試みといってよい内容で解説がなされていました。

 主な主張は、「大胆な金融緩和策が好感されて金融市場の円安株高がもたらされ、景気回復への期待が高まっているが、円安によって食糧やエネルギー価格の輸入価格が上昇し、貿易収支の悪化傾向を助長することになっている。」「貿易収支の赤字増加が、経常収支赤字の定着などということにでもなれば、一貫して経常黒字を続けている日本の信用力を傷つける。」(山口)、「円安になって、食糧やエネルギー輸入では高い輸入価格を支払い、一方の輸出で競合諸国との過当競争のため輸出価格を上げることができないため、日本の交易条件が悪化している。」(内橋)といった類です。

 しかし、アベノミクスの最終目標は、デフレからの脱却です。そのための第1の矢としての大胆な金融緩和策であって、目的はデフレからの脱却、即ちインフレ率を2%にまで引上げることです。円安は目的ではなく、あくまで結果に過ぎません。そもそも、目標とされる望ましい為替水準などというものは存在せず、目標である2%のインフレ率が実現できたときの為替相場の水準こそが、あるべき為替の水準というわけです。

 だとすれば、両専門家は、最終目標の2%というインフレ率の設定についての議論を故意に省略して、結果に過ぎない為替相場の水準がもたらしている現象についてくどくどと屁理屈をこねているのにすぎないのです。

 さらに、何より貿易収支悪化の一番の要因は、原発を止めていることです。貿易収支の赤字化がそれほど日本経済にとって負の影響が大きいと思うならば、直ちに原発再稼動に向けての議論を始めるべきで、その論点に一言も言及しないでこういう揚げ足取り的な円安否定論を展開するのは、日本が円安になると困る何か別の理由があると憶測せざるを得ないのです。

 また、アベノミクス2本目の矢は、機動的な財政政策の発動でしたが、これにより内需が旺盛になり、輸入が増えれば、経常収支は悪化すると見込まれますが、これを貿易相手国の立場から見れば、日本経済への依存度を高めるということです。貿易収支や経常収支の赤字は単純に日本の信用力を傷つけると決め付けることはできないのではないでしょうか。

 少し聞いただけでも、アベノミクスの世間一般における受け止められ方からはかなり外れていると違和感を感じてしまう両専門家のご意見は、ようやく明るさの兆しが見え出し、前向きな雰囲気を少し取り戻しつつある日本経済に水を差す、箸にも棒にもかからないひどい内容であったといわざるを得ないのでした。

NHKラジオ朝一番

 これもひどいな。NHK日本海に東海を併記