エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

新興国通貨全面安と株安

 2014年1月の株式市場は、年初言われていた上昇相場は影を潜め14日に日経平均で500円近い暴落を記録して以来の不安定な相場が続き、先週は遂に15000円台を終値で割ってしまっています。この原因について気鋭の経済評論家三橋貴明氏が面白い解説をされておりました。

 氏のかねてからの主張によれば、現在先進国、特に米国の中央銀行リーマン・ショック後に恐慌に陥ることを回避するために行った異次元金融緩和により刷られたお金が、実質経済(消費、住宅投資、設備投資、公共投資)に期待されたほど向かわず、主に金融経済に向かってしまった。その結果、金融経済に属する株式市場は世界的に泡沫状態にあり、しかも市場関係者は感覚的にはそのことを十分わかっているため、何かのきっかけで泡沫経済が破綻することも予測しているということです。

 そのような文脈の中で、今回FRB議長の交代が実施され、異次元金融緩和の責任者であったBen Barnanke前議長が交代にあたって出口政策、いわゆるTaperingに先鞭をつけたことにより当然予想される、大量に刷られた米国ドルが本国に還流するであろうことを材料に新興国通貨が一氣に売られることになった模様です。

 三橋氏は、同様の現象が新興国ばかりでなく、欧州や我が国でも起きていて、例えば、欧州経済が平均12.1%の高失業率で不況であることが一目瞭然であるのに、対米国ドルでのEURO高、株式市場の高騰などが起きていることは、大量に刷られた米国ドルが行き場を探して欧州金融市場に流れたことことを示す証左であるとしています。

 日本についていえば、今日株式市場における売買の主役は外国人投資家であり、米国ドル換算で成績を見る彼らにしてみれば、「円高 = 株売り」、「円安 = 株買い」なのであって、実体経済や企業業績はそれほど重視されてということのようです。三橋氏説を簡略に図式化すると次の通りです。

1.FRBのTapering
   ↓  ↓  ↓
2.新興国通貨売り、米国ドル高
   ↓  ↓  ↓
3.このとき円は売られないので円高にも振れる
   ↓  ↓  ↓
4.円高 = 株売りの法則に従い、日本株暴落

 ここで、論理的に少々腑に落ちないのは、「3.このとき円は売られないので円高にも振れる」です。現象的には、確かにそんな感じですが、外国人投資家は、なぜ円を売って米国ドルに換金しないのでしょうか? 日本株を売った後、円を米国ドルに戻すことはないのでしょうか? ここだけ、全体は非常に説得力がある説明ですが、ここだけがよくわからない点です。