エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

支越紛争 これまでの経過分析

 南支那海で支那の海警関係の公船がヴェトナム沿岸警備艇に衝突するなど、小競り合いが1週間余り続いています。ヴェトナム国内では、反支那の世論の高まりに応える形で始まった反支那デモが暴徒化する事件も起きるにいたり、事態は深刻化の様相を見せています。

 5月14日水曜アンカーにおける青山繁晴氏の解説は次のようなものでした。


1.支那の妄想(=Obsession)とヴェトナムの現実主義

 支那の妄想とは、(1)習近平国家主席は、自らの権威付けのために毛沢東を徹底的に模倣しているとされています。1966年から76年までの10年間で2千万人から3千万人の同胞を殺害したとされている文化大革命のミニチュア版を起こすのではないかという脅しが進行中なのではないかということです。

 一方のヴェトナムは、超現実主義で動いています。昨年10月に支那の第2位に位置する李克強首相が訪越しており、ヴェトナム側は、支那の方から接近してきたことにはそれなりの理由があるので、当面支那がヴェトナムを挑発してくることはないと見込んでいた節があります。続いて、2014年4月の米国大統領による亜細亜歴訪、とりわけ、22年ぶりの米比軍連携強化を決めたフィリピンでの首脳合意があり、支那がヴェトナムを取り込んでおきたいという氣持ちは強まりこそすれ、弱くなることはないと踏んでいたようです。

 しかし、ここに(2)太平洋を世界2大超大国で分割し、東側は支那が思ったとおりに支配するという第2の妄想があることに、ヴェトナムは現実主義の国だけに思い至らないという隙が生じました。


2.妄想を極めてしたたかに実行に移す支那

 しかし、支那は、世界を2極体制で支配し、東太平洋を思いのままにするという妄想(対外進出)を、実にしたたかな戦略で実行に移していると仮定すると、今回の支越紛争の勃発や東支那海での支那の活動の意味が見えてきます。

(1)米国は、これからフィリピンとの軍事連携に入るところで、ヴェトナムにまで手が回らない時期。
(2)日本は、集団自衛権行使を巡って、相変わらずの神学論争真っ最中。
(3)ASSEAN諸国は、実行力のある海軍力をもたない。
(4)国連(United Nations)は常任理事国支那が拒否権を使えば動けない。

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 支越紛争を実力を伴って仲裁できる当事者が不在です。結局、ヴェトナムは弱小の海軍力で大国支那に対峙せざるを得ず、非常に厳しい状況を戦い抜くしかないのです。