エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

分岐点の秋

 自分の意思で動いているつもりが、実は何かに操られている。本来自分はそうするつもりではなかったのに、いつの間にかそうするように導かれている。そういうことが、現実にあるようです。

 よく言われている例が、ハンバーガー大手のマクドナルドと組んだ穀物商社カーギルによる穀物を売る戦略で、外国の食文化自体を改変してしまい、牛肉の消費を伸ばして牛の餌としての穀物を売ることにより売上げを伸ばすというものです。人間に直接穀物を食べてもらうより、牛経由での穀物消費の方がはるかに多くを消費することになるという理屈です。ハンバーガーを食べるのは自分の意思であると信じてはいますが、米企業の流す映画、アニメ、広告など総動員しての戦略に洗脳された結果、その氣になっているに過ぎないという見方も頭から否定することはできないのです。

 穀物商社の戦略は、これまで戦後の日本で非常に上手く機能して来たようですが、ざっくり言って狂牛病事件くらいから、戦略に狂いが生じてきたように見えます。日本人の牛肉食嗜好は、狂牛病前の焼肉ブームあたりで頂点に達し、その後は高級国産和牛などへの嗜好は依然強いものの、信仰のような牛肉嗜好は全く過去のものとなっています。今年勃発した支那発のずさん過ぎる食品加工現場の実態暴露は、我が国におけるマクドナルド離れを決定的にするかもしれない状況です。

 マクドナルド離れが、戦後の米国文化からの脱却を象徴的に表わす事象と捉えられるかどうかはさておき、今後の我が国の方向性を決める重要な政治日程が、今現に進行中の印度新首脳の訪日の他にもめじろ押しです。特に11月北京での開催が予定されているAPECでの日支首脳会談、これは米国の要請に添う形で実現しそうな様相です。ここで支那側は、(1)尖閣諸島にこれ以上手を出さないこと、(2)安倍首相が在任期間中に靖国参拝を控えること、の2条件の確約を会談実施の条件として出してきているようですが、日本側は無条件の首脳会談にしか応じないという態度を崩していないようです。

 日支会談よりさらに重要なのは、プーチン大統領の訪日と日露首脳会談を我が国の国益に資することであるとの判断に基づき、断行するという決断です。しかし、この戦後外交中異例の決断は、北方領土交渉で一定の進展と成果が得られない場合、安倍首相と日本政府がプーチン大統領に上手く利用されただけだったという評価で、欧米諸国の批判を免れない事態も想定される危険を伴う決断であることを忘れてはなりません。
2014/08/28 ザ・ボイス 青山繁晴