エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

日中合意は「合意文書」ではなかった

 北京で開催されたAPECにおいて日支首脳会談が実現しましたが、そのお膳立てとなったのが谷内国家安全保障局長が訪支して合意したとされる4項目でした。

 その中身は、次の4項目とされています。

(1)双方は、日中間の4つの基本文書の諸原則と精神を遵守し、日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した。

(2)双方は、歴史を直視し、未来に向かうという精神に従い、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた。

(3)双方は、尖閣諸島など東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。

(4)双方は、様々な多国間・二国間のチャンネルを活用して、政治・外交・安保対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた。

 これまでの支那の言い分などから、(2)は靖国神社参拝、(3)は、いうまでもなく尖閣諸島問題であり、(3)で外交文書に初めて尖閣諸島という地名を挙げられてしまい、あたかも領有権問題があるかのように支那側から解釈されるおそれが濃厚になっており、日本側が譲歩したのではないかという指摘が様々な方面から投げかけられています。

 しかし、外務省の言い分は、この4項目の文書は、合意事項の覚書程度のものであって、そもそも「文書」ですらないということです。そのため、日支はおのおの自国語で勝手に4項目を発表しただけで、両国が合意した正本たる英文の合意文書など、いかなる言語の正本たる文書が存在しないのです。また、日本側の解釈は「東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて」異なる見解があることは認識していますが、尖閣の領有権について異なる見解があることを認識しているわけではありません。

 だったら、「尖閣諸島など」という文言は絶対に入れられるべきではなかったとは思います。今後、外務省は、4項目が「合意文書」ではないこと、領有権問題の存在を否定している従来の立場に変わりはないことを内外に向けてきっちり発信してゆく責任があると考えます。

【スクープ!】「日中合意文書」は無かった!外務省電話取材報告[桜H26/11/15]