エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

欧州大揺れ

 民主主義発祥の地として知られるギリシャ、要は慢性的な金欠蟻地獄からどうにも抜け出す術がなくなった状態ということです。かといって、安全保障の問題も絡んでいて、Euroから離脱することもままならないため、独自の通貨安と積極財政政策を採ることも不可能です。こういう状態を何と表現するのか、四面楚歌? 袋小路?

国際通貨基金IMF)の欧州担当責任者を務めるポール・トムセン氏が、欧州のパートナー諸国がギリシャの債務を軽減しない限り、ギリシャに対する資金援助を断つ構えを見せたとの英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の報道が重しとなった。

 ギリシャ10年債利回りは51ベーシスポイント(bp)上昇の 11.18%。前日は2カ月ぶり低水準となる9.84%をつけていた。2年債利回りは160bp上昇の21.13%。ギリシャアテネ株式市場のATG指数.ATGは一時5%近く値下がり。銀行株も10%近く急落している。

 IMFの関係筋によると、トムセン氏は4月24日にリガで開催されたユーロ圏財務相会合で、明確にギリシャへの支援を停止する姿勢を見せたり、債務削減を求めたりしていないが、ギリシャ債務の持続可能性が悪化している点を強調していた。ショイブレ独財務相も「IMFはそのような発言は行っていない」とし、トムセン氏は状況が「一段と厳しさを増している」と指摘したと述べた。
ギリシャ株・債券急落、IMF支援打ち止め示唆との報道で

 続いて、立憲政治の母国英国の下院選挙が明日5月7日に迫っています。この選挙の注目点は、賛否が分かれるものの英国復活の立役者Margaret Thatcher首相以来推し進められてきた新自由主義的な政策、すなわちGlobalismに対して真っ向から異を唱える選択肢が存在し、しかも相当の支持を集めているという事実です。スコットランド独立党、イングランド独立党といった国民主義民族主義の旗幟を鮮明にした政党で、ざっくり要約すると「人、物、金が国境を越えて自由に行き来することを是としない」というのが彼らの旗印のようです。加えてスコットランド独立党は、スコットランドの独立が党是であることは言うまでもありません。実は、Thatcher首相についていえば、新自由主義的な経済政策を採用していた一方で、EUには明確に距離をとっていましたし、保守党の現首相も今回の選挙に勝ったならば、EU離脱を国民投票にかけることを選挙公約として掲げているなど、ことは一筋縄ではいかないようです。

「キャメロン首相率いる保守党はトップを保っていますが、移民受け入れを制限すべきと主張する右派政党が勢力を伸ばしています。今、イギリスでは、安い賃金で働く移民への不満が強まり始めています。

 ロンドンから車で3時間の町ボストンは、急激な変化に直面しています。町の中心部の商店街にポーランドのパンを売っている店があります。そして、食料品店には東ヨーロッパ各国の旗が掲げられています。EUは『自由な移動』が原則で、2004年以降に加盟した東欧諸国からイギリスへの移民の数が急増。今や、この町の住民のおよそ3分の1が移民だといいます。『移民が多いから病院も凄い順番待ちなの。正直言って、もうたくさん』(イギリス人)

 こうした不満を背景に、地方を中心に勢力を急拡大させている右派政党があります。『イギリス独立党』。EUから離脱し、移民の受け入れを制限すべきだと主張します。『我々はイギリスを信じています!』(イギリス独立党 ファラージ党首)

 
 地元の人の間には不満が渦巻いています。『昔は全ての仕事を我々がやっていたんだ。でもあんな安い賃金じゃ生活できない。狂ってる』、『移民の波が一気に押し寄せ、安い労働力が全てをのみ込んでしまった。EU統合は失敗に終わった』(イギリス人)

 今回の選挙戦、キャメロン首相は、イギリス独立党の勢いに押される形で、EUからの離脱の是非を問う国民投票の実施を公約しました。EU加盟で大きく変わったイギリスの社会。7日の選挙はその変化への賛否を問う選挙でもあります。(06日14:12)」
英で高まる移民への不満、右派政党が勢力拡大


 ことほどさように先の見えないリスクオン状態の欧州なのではありますが、株式市場はここまでやや弱含み程度、EUROは何としっかりで取引されています。まことに欧州は、複雑怪奇なり。