エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

20150517_大阪都構想敗れる

 大阪周辺は言うに及ばず、全国的な注目を集めたいわゆる「大阪都構想」の住民投票結果が昨夜遅く明らかになりました。結局、僅差で反対が賛成を上回り、稀代の喧嘩師橋下徹大阪市長が敗れるという結果に終わりました。大阪都構想は、維新の党以外の全ての政党が反対の立場を取り、多くの学者・専門家が問題点を指摘するなど、必ずしも推進されるべき政策ではなかったため、大阪市民は妥当な結論を出したということだと思います。

 それにしても、敗北が確定した直後、公言していた通りに「政治家を辞める」と表明した橋下市長は、やはり喧嘩のやり方を知っている人なのだと思います。喧嘩には負け方があります。これで、橋下氏は、「都構想」をぶち上げ、推進してきた勢力のトップとしての責任を完結させることに成功しました。これで、今回の大敗北を引きずる可能性は、みごとに断たれたといえます。

 橋下氏は、政治の第一線から退くことになるのでしょうが、「江田代表に顧問弁護士として雇ってもらう」ことを打診していると、冗談半分で述べていた通り、復活の種は既に蒔かれていると考えるべきなのでしょう。橋下氏の引退で今後重大な責任を負わされるのは、大阪都構想に異を唱えた政党や大阪市議会ということになります。また、創業者を失う維新の党もその存在意義を問われることになり、退潮は必至です。橋下徹復帰論は、数年後にも大きな動きとなることでしょう。

 さらに、我が国の国民性は、どこぞの国とは異なり、事大主義を心の奥底で嫌う傾向があります。「判官びいき」といい、敗れ去ってゆく者を足蹴にしたりすることは潔しとしない尚武の氣風は、わずかながら現代にも生き残っています。大阪の地盤沈下に歯止めをかける手掛かりが見つからず、今回勝利した側のおごりが垣間見られる状況に至れば、橋下復帰待望論には簡単に火がつくのではないかと思われます。

=== 東京新聞 5月18日 ===

 大阪市を廃止し、五つの特別区を新設する「大阪都構想」への賛否を問う住民投票が十七日投開票され、反対約七十万五千五百票、賛成約六十九万四千八百票のわずか約一万七百票差で否決された。大阪維新の会代表の橋下徹市長は記者会見し、十二月までの市長任期を全うした上で政界を引退する意向をあらためて表明した。投票結果を受け、橋下氏が最高顧問を務める維新の党は江田憲司代表ら執行部が十八日未明に総退陣を表明。維新との連携を探った安倍晋三首相の改憲戦略や、野党再編に影響を与えるのは確実だ。
 大阪市選管によると、住民投票は二十歳以上の大阪市民が対象で、当日有権者数は二百十万四千七十六人。投票率は66・83%で、大阪府知事選との「ダブル選」となった二〇一一年の市長選の60・92%を5・91ポイント上回った。
 大阪府との二重行政を解消して経済成長を図り、住民に身近な行政を実現するとして都構想に政治生命を懸けた橋下氏の主張は浸透せず、市の存続が決まった。会見で橋下氏は否決結果に関し「大変重く受け止める。都構想が市民に受け入れられなかった。間違っていたということになる」と述べた。将来的な政界復帰についても否定した。
 都構想は、東京都と二十三区の関係をモデルに制度設計された。自民、民主、公明、共産各党の地元組織は「無駄な二重行政はない」とし、連携して都構想の必要性を否定。特別区には財源不足が生じ、住民サービスは維持できないと主張するなど反対運動を展開した。
 橋下氏は〇八年に大阪府知事に就任、一〇年に都構想を掲げ、松井一郎氏(現府知事)らとともに政治団体大阪維新の会」を設立した。
 一一年の市長・知事の「大阪ダブル選」を経て、一二年の旧日本維新の会設立以降、三度にわたり国政選挙にも挑戦。現在、維新の党は野党第二党として、一定の存在感を発揮するまでに至っている。
 <大阪都構想> 政令指定都市である大阪市を解体して五つの特別区を新設し、大阪府と行政機能を再編する構想。協定書(制度案)によると、大規模開発や成長戦略などを府が、福祉など身近な住民サービスを特別区が担う。特別区は人口34万〜70万人の北、湾岸、東、南、中央の各区。区長と区議は選挙で選ぶ。公平性や効率性を確保する必要のある水道事業など約120事務は、特別区が共同設立する「一部事務組合」が実施。固定資産税や法人住民税などを府がいったん徴収し、5特別区と府に配分する。

=== 転載 終わり ===