エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

日銀マイナス金利の意味など

 先月、1月29日に日銀政策会議の結果打ち出された黒田バズーカ3号ともいえる、「日銀マイナス金利政策」は、量的緩和策の1号、2号に比べ、難解で市場はこれを十分に消化できたのかいまだによく分かりません。この政策決定に当たっては日銀委員の票も割れたようで、賛成は、黒田総裁、岩田副総裁、中曾副総裁と審議委員の原田泰氏(2015年3月就任 経済企画庁)、布野幸利氏(2015年7月就任 豊田)。

 一方、反対票を投じたのは、木内登英審議委員(野村)、佐藤健裕審議委員(住銀→外資)、石田浩二審議委員(住銀)、白井さゆり審議委員(学者)の4人です。

 そもそも、マイナス金利政策とは何なのか、このあたりから解きほぐしてみますと、銀行の銀行たる中央銀行市中銀行は準備預金としての一定額などの預金を積み立てています。そして、準備預金に対する付利はもとよりありません。ただし、この準備預金を上回る金額には0.1%が現在付利されており、これについては一応今回のマイナス金利の対象からは除外され、そのまま維持されます。つまりは、今後、現在の残高を上回る預金に対して日銀は0.1%の付利をせず、逆に0.1%手数料を徴収する、というのが今回のマイナス金利政策の中身です。それでは、これまで日銀に預金残高がどのくらいあったのかといいますと、準備預金約30兆円、0.1%の付利分に当たる準備預金を上回る金額が約220兆円です。つまり、日銀は年間で2200億円の補助金をこれまで市中銀行に預金金利として供与していたともいえるのです。

 したがって、マイナス金利政策とは、市中銀行に対して厳しい政策であり、日銀が市中銀行の健全性を保つなど銀行のための施策と国民経済全体を浮揚するための政策と畢竟どちらを選ぶのかという究極の選択に迫られているのが現在の経済状況であり、黒田総裁はどちらに顔を向けているのかが図らずも分かってしまう局面が今回の政策決定会合だったわけです。このことを十分に理解した上で、実務的に採れる政策はマイナス金利しかないと事前に予想されていたのが、元財務官僚の高橋洋一先生です。
【1月29日配信】日銀が初のマイナス金利導入!緊急特番!戦後経済史は嘘ばかり 高橋洋一 上念司

 高橋洋一氏は、現在の残高220兆円に対しても近い将来にマイナス金利が適用されるバズーカ3号の強力な補完砲が次の政策会議で決定される可能性をも示唆しています。また、今回の3兆円に過ぎない補正を補う財政政策もしくは消費税に関する新たな方針が、5月26日に開催されるG7で議長を務める安倍総理の口から発表されるのではないかという見通しも述べておられます。
1/3【経済討論】補正予算成立と世界経済の行方[桜H28/2/6]
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