エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

最近のドラマ感想

 北条司原作漫画の実写化で話題の「エンジェル・ハート」第5話と第6話をGyaoで視聴してみました。自身が漫画オタクの上川隆也冴羽獠を演じるということで、City Hunter以来のおなじみさん達からも意外と支持されていると聞きます。同時期に放映された東芝劇場の「下町ロケット」を知人から薦められて観たところ、これがまた近年にない素晴らしいドラマだったことにも喚起されて、他の話題作も見てみようという氣になった次第です。

 しかし、やはりというか、漫画・アニメの実写化はダメ作品のジンクスを打ち破ったとはとても言い難い出来の作品でした。「エンジェル・ハート」は何がだめかというと、次の2点で決定的に駄作に陥っていると断じます。いや、第一点目は、個人の志向の問題でもあるので、駄作というのは少々酷かもしれませんが...。

 第一に、氣になったのは、獠たちのたまり場Cat's Eyeの常連客として何の必然性もなくゲイが出てくることです。こんな設定は原作にはないのです。ドラマの制作者が意図的にやっているとしか思えない。もしかすると新宿にはゲイが比較的多いのかもしれませんが、それでも一般人の数%に過ぎません。ましてや、この世界や日本社会には禁忌というものが存在します。その禁忌を意図的に表に出そうとする動きや思想には、全く賛同しません。渋谷区や世田谷区の動きをさも大切なトップニュースとして取り扱う報道機関と軌を一にするおかしな方向性が最近はテレビやラジオの随所に見聞きされますが、どうも仕組まれた流れのように思えて仕方がないのです。

 第二に、安っぽいヒューマニズムを前面に押し出した安っぽいドラマに成り下がっていること、今の日本のテレビ界のドラマの水準がこの程度なのは、分かっていたことではあります。冴羽獠は、依頼を受けて法の埒外で悪に天誅を下す、City Hunterです。この仕事をどういう成り行きであれ、請け負った者の心の葛藤は凄まじいもので、例えばHarry Callahanは、第1作のラストシーンで、射殺した凶悪犯の死体に自身の警察章を投げつけます。そのHarryが、第2作では、極端な正義感から私刑を行う警察官に対して戦いを挑むという設定で、つまり、彼は極端な人権思想なり、それに対する反動からくる極端な思想が生み出す矛盾に対して、人としての正義を体現しようとして必死で戦いを挑み続ける人物でした。エンジェル・ハート冴羽獠は、年齢を重ねて往時に比べ丸くなっているとはいえ、悪人を憎まず殺さないCity Hunterなど在り得ず、ドラマの入り口からして勘違いしているのではないかと感じます。上川がいくら恰好よくアクションを演じて見せても、見ていて消化不良の印象が強いのはこのためなのでしょう。

 加えて、上川の冴羽獠は悪くはないのですが、獠の体格はもう少し背が高くて頑健でなくてはリアリティーに欠ける氣がしています。とはいえ、日本の俳優で具体的に誰が思い当たるか問われると、困るのですが...。