エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

株式市場雑感

米国のSub-Prime Loan問題は、Californiaの山火事のようになかなか沈静化しない。昨日の報道によれば、日本の金融機関全体が保有する関連金融商品は、Mortgage担保証券などだと思われるが、1兆3000億程だそうだ。思ったより多額と言う印象を受けた。Hedge Fund関連など金融派生商品の営業が、我が国にもこの数年予想以上に浸透していたのかもしれない。

米国のSub-Prime Loan問題は、米国とドル基軸通貨体制崩壊の引き金になるかもしれないと言う意味で確かにやばいのだろう。それにしてもだ。Bubble崩壊後の日本人は悲観論が暴走する傾向に拍車がかかってしまったと今回も思うのである。2年前の2005年11月23日感謝祭前の米国、欧州市場との比較表を見てもそれは明らかで、Bubble気味の中国・印度などとは比較するまでもないのだろう。

2005年11月23日/日本24日            2007年11月21日

日経平均  14742.58                                     14837.66

Dow         10916.09                                     12799.04

NASDAQ   2259.98                                       2562.15

LONDON   5531.7                                          6070.9

FFTDAX    5196.08                                       7518.42

この2年だけ取り上げて云々する話ではないことを百も承知で敢えて言うと、我が国はそれほどまでに欧米に比べてもお先真っ暗なのか。ここ数年多くの日本企業は、大企業中心だったのかもしれないが、Bubble崩壊後の不振から立ち直り、史上最高益を記録したところも結構あったはずだ。ここもとの暴落で、平均配当利回りが10年国債の利回りを上回ってきている。

株式市場は、現在ではなく、将来の企業業績、景気動向および経済情勢を反映するのだと言うことかもしれない。小泉元首相の退陣以来、確かにこの国の指導層の信じがたい迷走振りには、ただ呆れ返るばかりだ。今のままでは、財政は顕在破綻するまで手はつけられず、高齢化少子化に伴う経済と社会文化の成長鈍化の問題は更に悪化し、外国人の不法入国と犯罪の増加も放置されるのだろう。

今思うに、転換点は2006年正月の堀江モン逮捕だったのではないかと個人的には思っている。確かに、Live Doorと堀江氏には問題があったのだろう。しかし、堀江逮捕は、より象徴的な時代の転換点とでもいうべきものだった。既に金属疲労が限界にまで達していた戦後に築かれた政治・経済・社会に根ざした仕組みを打破しようと言う勢力に機会を与えるような方針、つまりそれは、1980年代から90年代にかけて英米が行った規制の緩和と自由競争、市場原理主義的な方向性だったと思われるが、その流れが反動勢力によって押し返され、否定されたとも言える瞬間だったのだと今にしてそう思うのである。

しかし、反動勢力に国を方向付ける指針などと言うものを期待するのは端から無理と言うもので、堀江逮捕は市場に混乱だけを残した。その上、後継の安倍前首相が一見分かっているようで実は何も分かっていない能力不足の政治家だったことは、非常に不幸なことだった。混乱は市場だけにとどまらず、政治経済全般に広がって行く。成熟期から衰退期に入った我が国は、無能な指導者でもやっていけるなどと言う余裕をかましている時間はなかったのだ。

そのあたりを見越して、外国人は日本株を売り続けるのだろうか。結論としては、今の日本に一番必要なものは、最低でも小泉さんの水準を持った指導者なのだ。今のところ現首相は前首相に比べれば、随分ましと言うところだが未だ市場の信任を得るまでには至っていないようだ。と言うか遠く及ばない。日銀総裁のように何年やっても市場の信任が得られないと言うのでは話にならない。そうはならないように祈るばかりだ。