エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

人事労務と経営を考える(1)

 特定社労士らしく、人事労務関連書籍や経営書を読んで、自分のメモ用に気付いた点などをまとめて書き留めることを、できる限り毎日続けてゆきたい。

 ところで、昨晩の「Close up 現代」は、市場の国際化に対応するための亜細亜の優秀な人材確保に動く日本と韓国の企業が紹介されていた。国を挙げて人材確保に邁進する隣国に比べ、我が国は完全に出遅れ気味。その最大の原因は、「日本人と同等の日本語力」を要求するためと報じていた。

 しかし、より根本にあるのは、国内に十分な市場を持てなかった韓国と、曲がりなりにも1億2千万人の潤沢な国内市場をこれまで待ち得てきた我が国の危機意識の差なのだろうと思った。とは言っても、人口減少と日本人の質の低下はもう待ったなしのところまで来ていて、今後語学力と外国人の労務管理は、日本企業にとっても必須ということになりそうだ。成功しそうな事例として京都の堀場製作所が紹介されていた。

 ところで、最近日本人は、就業に関して益々保守的になっているようだ。つまり、「安定志向」=「専門職志向」という言葉で表せる傾向である。その根底にあるのは、自分の身は自分で守る保身志向だ。当たり前といえば、当たり前だが...。

 最近の日本人の安定志向の背景には、次のような事実が挙げられるのだろう。

 1.Bubble崩壊後の不況、それに続く(かなりの時間差はあったが)、リストラで中間管理職も退職を余儀なくされた事例がそこそこ存在したこと。

 2.空白の10年だか15年で、企業が雇用を絞るようになり、採用しても即戦力重視になった。この結果、派遣市場も拡大し、派遣費用400万円/年額で代用できる仕事は、正社員でも年収300から350万程度で頭打ちとなった。

 3.成果主義への傾倒とCareer開発の自己責任化。

 そして、その根底には、

 我が国が、人口減少に直面し、成熟を通り越して衰退市場化していること。そのため、企業も国内市場依存では永遠に満足な成長ができない、期待できないというところに行き着くのだろう。

 こういう中で、せめて自分だけでも生き残ろうと短絡的に考えれば、結論は資格取得も含めた「専門職志向」になるのは、とても自然な流れのように見える。

 しかし、よりマクロ的な視点に立てば、このような自己保身から来る専門職志向の若者に機会を与える程企業はお人好しではない。まして、大企業などがこれから狙っていかなければならない亜細亜新興市場を開拓できる人材ともみなされることはまずないのだろう。かくして、日本企業が、日本人の若者を敬遠し、亜細亜の優秀な即戦力に期待するという奇怪な現象が一部に現れてきていることについて、一応の説明がつくのである。