エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

サッカーは守るのが勝ち?

野球世代でサッカーにはあまり興味はない方なので、前評判の芳しくない(国内での壮行試合であれだけみっともない負け方をすれば、そりゃーそうだろう)岡田監督率いる日本代表が初戦Camerounに敗北するようなことがあれば、あとは見なくても良いとさえ思っていました。

W杯南阿大会、初戦は1対0での辛勝で日本代表めでたい海外での初勝利、昨晩の対Netherlands戦は惜しくも0対1で優勝候補の一角には敗れました。ここまで、中村俊介など攻撃の主軸をはずして「守備重視の陣形を取り、数少ない好機をできればものにして行こう」という、引分け狙いの戦術は、奏効していると素人目には映ります。

W杯の仕組みは、4箇国ごとの組に分かれて総当たり戦を行い、勝てば勝ち点3、引分けでも勝ち点1が与えられ、基本的にはこの勝ち点及び勝ち点同点の場合得失点差で決勝Tournamentへの出場権が決定され、出場権は上位2箇国までに与えられます。従って、少なくとも総当たり戦の段階では、引分けにも十分価値があるということになります。

そこで、特に総当たり戦では勝つことよりも「どうすれば負けないか」という視点を持つことが戦略であり、負けないためすべきことを実行するのが選手の戦術です。そこで、攻撃と守備に分けて考えてみると、攻撃については、初戦の本田選手の見事なGoalでも分かるとおり、かなり偶然の要素が大きいといえます。もちろんパスを出した松井選手の個人技、相手を自分にひきつけた大久保選手の動き、そして本田選手の冷静な状況判断と正確なShootingなど個々の選手の能力が土台にあって引き起こされる偶然ですが、こういうことは、1試合の中でそう何度も再現されることではありません。いくら、前述の3人の技量が優れていたとしても、松井選手のパスがたまたま本田選手ではなく相手選手に近いところに落ちてしまったら、また、本田選手の走り込みが一瞬でも早すぎたり、遅れたりしていたら、Goalが決まっていた確率は一気に下がってしまいます。

Footballにおける得点、即ちGoalとは、よほどの技術差でもない限り、単なる偶然の産物に過ぎないといっても良いのではないでしょうか。ましてや体格的に恵まれない日本代表には、相手守備陣を少人数で突破して強引にGoalを狙ったり、常に最適の位置取りでGoalを脅かすような傑出したForward Playerを寡聞にして聞いたことがありません。決定力不足は永遠の課題ということを報道機関などは無責任に喧伝しているようですが、そんなことは当たり前で、ことFootballという競技に関する限り、我が国代表の永遠の課題は、決定力をつけることではなく、「いかにして負けない戦略思想でチームを構成していけるか」唯それだけです。

Footballにおける攻撃が、偶然に相当程度支配され、成果という点で非常に効率の悪い行為であるのに対して、守備は選手の意志によって相当程度制御できる分野だと言うことが今回の代表の戦い方だけ見ても十分に証明されているように思えます。そういえば、W杯決勝Tornamentの常連伊太利亜は伝統的に堅い守りで有名ですし、独逸も体格に恵まれた選手達が組織的な堅守を見せます。つまり、PeleやMaradona(しかし、この2人は小柄だったな)は継承できないが、伊太利亜代表の堅守は伝統になり得るということです。

ということで、今回岡田監督が苦境の中で下した戦略変更の決断は、たまたま初戦で最高の結果が出せたという幸運にも恵まれましたが、正解だったというのがサッカー素人の小生の結論です。昨晩の試合では、後半中村や岡崎という本来の主軸を投入しましたが局面を変えることは全然できなかったこと、特に岡崎は外してはいけない数少ない好機を外しています。あそこで外したということは、彼の攻撃力lに依存した戦術を何度やっても得点は入らないということだと思います(と、これは言い過ぎかもしれませんが、攻撃力を絶対に当てにしてはいけないという意味です。)

負けない戦略で次のDenmark戦までは良いのだと思います。新聞報道などによればDenmarkも昨晩は勝利したようですが、引分けならばこちらのもののようですので。問題は、守備を厚くして悪くて引分け狙いの戦略を敵も見越してそれなりの対策を練ってきた場合です。しかし、Denmarkの攻撃力が並みの攻撃力であるならば、無理な攻撃は守備に穴も開きやすくなり、そこは守備重視戦略の術中にはまる確率もより高くなるのではないでしょうか。ここは、前監督がよく言っていた「Footballは走力勝負だ」に行き着く感じがします。あとは、高さ勝負に持ちこまれるような自陣でのセットプレーを避けるべく、組織を生かした早目のつぶしなんでしょうね。

更に、引分けでは先に進めない決勝Tournamentです。ここでも格好よく戦って善戦したが負けましたでは、話にならないのです。負けない戦略で、PK戦で負けるならば善しとしましょう。GK川島は好守備なので、勝ち抜ける確率は低くないと思っています。ここまで戦略と戦術を錬ったら、あとは侍の精神力と大和魂の勝負です。

がんばれ日本!