エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

W杯デンマーク戦雑感

サッカーど素人ですが、そして、今大会の日本代表はCameroun戦で終わりと戦前には思っていた者です。ですから、Camerounを破り、優勝候補の一角オランダとの対戦でも敗れたりとは言え、組織的な守備が世界に通用すると言うことを証明して見せた立派な試合で、これで十分、決勝T進出は欲張りすぎと思っていました。後がなく本気になった格上欧州の強豪国に勝てる見込みは相当少ないと思っていたからです。

しかし、そう言う常識的な悲観論をたった一人の男が覆してしまいました。Denmarkに完勝し、日本代表を決勝Tに導いた最大の功労者は、やはり本田圭佑その人だと思います。Denmark戦に関して言えば、1点目の魔球と言っていいあの左足からの無回転FK(Free Kick)は言うに及ばず、遠藤の同じくFKによる2点目も、敵は明らかに本田の左足からの第二弾が来ることを前提に守備陣形を敷いていたところに遠藤の見事な一撃が炸裂したもので、もちろん一義的には遠藤が立派だったと言うことなのですが、本田の無回転弾が無言の圧力になって導き出した1点と小生は考えています。そして、岡崎のGoalの3点目も、本田が敵守備陣を完全に自分にひきつけておいてあとは食うだけと言うところまでお膳立てをして出したPassを岡崎は上手に食っただけのことで、ここは2点目以上に本田の上げた1点と言って良いのではないでしょうか。

思えば、本田は無回転FKを以前の試合(確か対蘭戦)でも試みていて、この時は吹かしてしまってGoalをはずしていました。無責任な解説者からは、今大会の公式球の扱いにくさを理由に、捕球も同様に困難なのだから、無回転にはこだわらず普通に蹴れば良いと言うような解説が行われ、ど素人の小生も「Goalを端から外れていれば、絶対に点は入らないのだから」と納得していたのです。しかし、本田の無回転の威力を目の当たりにして、その凄さに言葉を失いました。こういうFKは、本田をしてもいつも撃てる訳ではないのでしょうが、あのW杯の大事な第3戦で実際に撃って見せたのですから、並みの選手の域ではありません。

第1戦の1点も一瞬の数少ない好機を松井のAssistと本田のGoalでものにしたもので、壮行試合敗戦の辺りを底に日本代表は上げ潮に乗ってきていることがここに来て鮮明になったと言って良いと思うのですが、その1番の立役者は、決定力のない日本代表の今大会で上げた全得点に絡んでいる本田で間違いないのではないでしょうか。

そして、上げ潮に乗れたことに関して忘れてはならないもう一つの要因は、大会直前にどん底まで落ちた日本代表をどうすれば負けない戦いができるかと言う観点から戦略を守備陣形主導の思想で練り直し、まず、中村俊介を外し、本田を攻撃の要にすえるという英断を下した岡田監督によるところが何より大きいのでしょう。岡田監督が初めて代表監督を務めた仏大会のときも、日本代表は当初加茂監督の下全然勝てず、このままでは自国開催の前に一度も自力でW杯に参戦できなかった国と言う汚名を背負ったまま2002年を迎えることになると言う状況で、更迭された加茂監督を引き継いで監督に就任したのでした。それから、日本代表はW杯予選で強敵韓国を敵地で破り、W杯代表の座を手にしたのは未だ記憶に残っている出来事です。おそらく岡田さんと言う人は、窮地に立ってから力を発揮し、知恵を出す人なのかもしれません。

そして、今回の日本代表は、本田と言う傑出した選手を持つ幸運に恵まれたとは言え、日本人はどん底まで落ちた時には結束して短期で変われることを証明してくれたといえるかもしれません。たかだかFoot Ballと言う限られた世界、しかも選手は一般人ではなく、プロ中のプロばかりの専門職集団の話を一般化するのは、全く論理の飛躍であることは重々承知の上で敢えてそう言うことを強調したくなりました。

Soccerの語源はAssociation Footballで、英国や欧州大陸でFootballと言えばSoccerのことですが、Association Footballと言えども代表はたった一人の傑出した選手で変わることがある、国家もAssociationのひとつ、と、これは拡げ過ぎですか。

そう言う意味で、今回の伊代表の決勝T進出ならずの敗退は、驚きでした。W杯優勝候補常連のイタリアは、伝統の堅守で1次突破は当たり前、決勝Tを勝ち進むために状態のピークを決勝Tに合わせるように調整すると言われていますが、大会前の練習試合でMexicoに敗れるなど、調子が上がらないのも計算ずくと解説されていたのです。それでも代表を目覚めさせる役割を果たす傑出した一人さえ今大会では最後まで出てこなかったのか、元々いなかったのか、評論家や記者の解説がいかにいい加減なものであるのか、図らずも証明する事例になってしまいました。

いずれにしても「勝負は時の運、人事を尽くして天命を待つ」です。日本代表の岡田監督のBrainとなっている裏方の人たちの対戦相手の分析は相当上手く行っているものと想像に難くはありません。Paraguayは小国といえども南米の小国です。大国Brazil、Argentinと常日頃対戦している戦上手と思われます。また、日本代表にとっては今大会初めての南米代表国との対戦でもあり、対戦前の十分な戦力分析と戦術の練り直しが勝敗を決することになるのでしょう。

がんばれ 日本!!