エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

原油価格急落の原因とその影響

 原油価格が10月頃から急落しています。我が国に関係の深い中東の指標銘柄ドバイ原油は、本年6月110ドル/1バーレルだったものが、先月末から今月にかけて70ドル程度まで下がってきています。その原因の主なものは、第1に供給側の原因として、米国におけるシェール油の採掘技術の向上による増産が上げられます。第2に、世界的な景氣後退及び自動車の低燃費化に伴う需要の低迷です。

 そこで、石油輸出国機構(OPEC)は、11月27日に総会を開き、減産について討議しましたが、全会一致が原則の同総会で、サウジアラビアの意向で減産が見送られたことは、既に報道されている通りです(OPEC決裂、ウィーンの密室で鮮明に−サウジ対ベネズエラ

 盟主サウジの思惑は、いかなるものであるのか、様々な見方が伝えられています。一説によれば、サウジが本氣で米国のシェール油をつぶしにかかっているという見方です。シェール油の生産費用は、80ドル/1バーレル位といわれていますが、もっと低い70ドル位という人もいます。他の有力説は、露西亜及びイラン経済に強烈な打撃を与えることだというものです。産油国といっても、その国の歳入と歳出が均衡する原油価格はまちまちです。ちなみに、サウジアラビア:90ドル/1バーレル、クウェート:50ドル/1バーレルに対して、イラン:130ドル、露西亜:110ドルといわれています。しかも、サウジには財政余剰の蓄積があり、7〜8年は今の水準で耐えられるといわれています。

 現在の国際社会は、複雑怪奇ですが、やはり意識しなければならないことは、米露の戦争状態といっても大げさでないような激しい対立です。今回の原油価格急落が、比較的高い費用で生産している産油国経済に大打撃になっていることは、明らかでしょう。

 一方、我が国にとっては、久々の朗報です。エネルギー経済研究所研究顧問十市勉氏によれば、80ドル/1バーレル及び115〜116円程度の水準が続くとするとGDPの約5%を占めるわが国の石油及び天然ガスの輸入が年間で約3.8兆円も改善するということです。