エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

AIIBのこと

 習近平政権が進めているAIIB構想に参加を表明した国が3月末で50箇国ほどに達したと伝えられ、報道各紙などは、「仲良しクラブに乗り遅れるな」という論調で埋め尽くされています。

「日本がAIIBに参加するにしても、見送るにしても、政府はその判断の根拠を、国民に説明する必要がある。そのためにも、中国への関与は、希薄であってはならない。
 戦後の国際金融は米欧を中心に動いてきた。日本は長年、米国とともに歩むことで一定の地位を保ってきてはいる。しかし、中国の台頭で、その秩序は大きく変わろうとしている。今後、日本はどういう立ち位置をとるのか。AIIBはそんな問題を日本に投げかけている。」
AIIB―関与は十分だったのか(4月1日朝日社説)


 しかし、

(1)国際社会は、そもそも悪賢い無法者同士の抗争の場であって、仲良しクラブではありません。今回も暴力団A組と暴力団C組の国際金融をめぐる抗争に巻き込まれたA組のぱしり(不本意ながら現状はこんなところでしょう)として、最善の選択を慎重に検討する必要があります。

(2)AIIBの隠された真の狙いは、ADBからビジネスと権益を奪うことです。欧州諸国などのAIIB参加表明国は、そのおこぼれ頂戴が目先の目的ですから、我が国にとっては、ADBの権益を最大限守るにはどうすればよいのかという観点が絶対に必要です。

(3)とはいえ、ADBを主催する日米が参加しないまま発足したAIIBでは、参加国がいくら増えても大きな不安要因を抱えているという視点も忘れてはなりません。そう考えてみれば、主導権は日米が握っているともいえるわけで、焦って参加表明する必然性は、現時点でもほとんどといってよいほどないのですから。

「中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の参加申請期限となる31日、安倍晋三首相は「焦って参加する必要はない」と述べ、参加表明を見送る方針を明らかにした。英独仏など欧州各国やロシア、オーストラリア、韓国を含む40カ国以上が参加を表明、慎重姿勢の日本と米国が孤立しているとの報道もあるが、実は困っているのは中国の方だ。日米不在のままでは資金調達に重大な欠陥を抱えたままのスタートとなり、中国が巨額損害を被る可能性があるというのだ。」
中国投資銀、日米不在で“2流格付け”濃厚 資金調達に重大欠陥(4月1日夕刊フジ)

 4月2日の青山繁晴氏は、AIIB参加を徹頭徹尾否定しています。「我が国報道機関は、AIIBの中身と真実を全然伝えていないのではないか。日本は、絶対に参加してはいけない。」
2015/04/02_The Voice 青山繁晴