エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

将棋ソフト ボナンザ

先週の日曜日、3月18日は、将棋勝抜戦の決勝で、森内俊之名人と佐藤康光棋聖の実力者同士の対戦となり、稀に見る好勝負となりました。中盤素人目には敗色濃厚と思われた佐藤棋聖が、終盤魔法のような佐藤将棋を繰り出して勝利をもぎ取りました。攻守に安定した森内名人は、目下最強かもしれませんが、どんな手を繰り出してくるかわくわくするような佐藤将棋は魅力があります。

さて、既にChessの世界で、Computerの方が生身の人間より強くなっていることは、つとに知られていることです。しかし、「取った駒を持ち駒として使える」将棋では、電脳は人間に勝てないとされてきました。ところが、そもそも「取った駒を持ち駒として使える」というような理由付けは、所詮技術的な問題で、突き詰めていった本質的な理由ではないということは、良く考えれば、分かることです。昨今の将棋Softは、一流のプロ棋士にも迫るものが出来ているそうで、最強Softボナンザが渡辺竜王に挑戦し、善戦したことが伝えられていました。Bonanza=Suddan good luck or wealth、と言う名前なんだろうと想像するこの将棋Soft。将棋でもChess界で数年前に起こったことを再現するのかもしれません。

こうなってくると、Matrixや攻殻で起こったことの一部が、既に現実世界でも起こっているのかというような気がしてきます。知能の高さで万物の霊長と勝手に宣言していた人間を人間以上の知能を持った機械から解放するものは一体何なのか。それは、皮肉なことに、電脳を作り出した科学技術や知能的能力ではなく、精神的、霊的な部分に行きつくのだろうと想像します。Anime「攻殻機動隊」の英語版は“Ghost in the shell”であり、事故で生き延びるために脳以外の全身をCyborg化した主人公が登場します。彼女の脳に宿るGhostだけが、機械と人間を分ける分岐点と認識されています。日本のAnimeを担う天才たちは、Windows95が出るかでないかという時代に、既にこのことに気が付いて作品を作っていたようです。Eva Seriesなどにもその萌芽が見られます。

攻殻の面白いところは、2nd Gigのタチコマのような高度の人工知能にもGhostが生じたのではないか、と言うような描写が現れる点で、こうなってくると、一体人間の尊厳をどこに求めていけば良いのかさえ分からなくなってきて、複雑な迷路に迷い込んでしまいそうです。迷路に陥る前にBonanzaくらいで満足しておくべきなのかもしれません。