エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

コードギアス_反逆のルルーシュ

それにしてもだ、小泉元首相は慧眼だ。確かに、今の自民党では、人気者の麻生の顔でも、総選挙をやったら小澤民主党に敗れる危険性は高い。それならば、女性票の大幅底上げが狙える小池百合子で勝負すると言うのは筋のいい戦略ということが、言われてみるとよく理解できる。女性は、その生存本能の強さから来るのか、不潔なものや異臭を極端に嫌う傾向が、男から見るとちょっと驚くばかりに強い。見るからに親父臭やタバコの臭いがして、不潔で人相の悪い対戦相手とは、違いが否応なく引き立つ。小泉はそう読んだに違いない。

自称、Robot Anime Maniaの私が推す三大作品は、第一位「交響詩篇エウレカセブン」、第二位「蒼穹のファフナー」、第三位「ゼーガペイン」となるのだが、以上の奇抜な世界観を基にしたRobot Animeとは、やや違う分野の“Picaresque Anime”の傑作とも言える作品にぶち当たって、嵌っている。

MS GundamのSunriseがひさびさに生んだもう一つの傑作Anime、「コードギアス 反逆のルルーシュ」(“Code Geass Lelouch of the Rebellion”)。人気の出た作品で、第2季が最近終了したことも知っていたが、皆が見ているとなると何故か敬遠する傾向にある、典型的天邪鬼気質が災いして、今頃漸く重い腰を上げた。第1季の途中、LelouchがGeassの暴走を押さえ込めない状況に陥り、その結果Britanniaの良心と善意の象徴であった第三皇女Euphemiaを撃ち殺したところまで見たが、主人公は完全なRogue=悪漢で、“Picaresque”の名に恥じない。EurekaのRenton TherstonやFafnerの真壁一騎のような真っ直ぐな主人公には思わず不覚の涙を流す筆者だが、コードギアスではさすがにそう言うことはない。しかし、コードギアスは珠玉の作品であると言う評価に変わりはない。馬鹿ロックバンド「ジン」の耳障りで不愉快な「解読不能」という馬鹿げた悪ふざけをOpening曲に採用したことを除いては。

コードギアスの世界では、世界は英国に由来し北米から起こったBritannia帝国とEU、中華連邦に三分されている。この設定は、Gundam00とほぼ同じ、今時誰もが考えつく近未来の世界の一つ。しかし、Gundam00とは異なり、日本はBritanniaとの資源を巡る戦争に敗戦し、Britanniaの支配下に入って「11」と呼称され、最早国名を名乗ることさえ許されない。Britanniaは、人間の生まれながらの不平等を是認し、弱肉強食を国是として発展してきた帝国だった。EUの権利の平等や中華連邦の所有の平等は、人の進歩を妨げる考え方として、これらを明確に否定する。

我等が主人公、Lelouchは、皇帝を父に庶民の出ながら聡明で進歩派の后Marianneを母に生まれたBritanniaの皇子の一人だったが、Marianne暗殺の影響で妹のNunnallyとともに「11」と呼称される日本に送られ、亡き者にされる運命を背負わされた。過酷な運命の中、幸運にも身分を隠して生き延びたLelouchだったが、比類なき知性を持ちながら希望のもてない無為な生活に倦んだ少年だった。そんな日々の生活の中で朽ち果てていきそうに見えたLelouchの運命が、あるとき一人の謎の少女CCと出会ったことで一変する。彼女こそは不老不死の存在であり、Geassの能力を人に授けることができる神とも悪魔とも言えるこの世の自然現象を超絶した者だった。他人を絶対服従させるGeassを授けられたLelouchは、Geassの力を使って母Marianne暗殺事件の真相を探り、最愛の妹Nunnallyのような身障者でも安心して生きていける弱肉強食とは正反対の世界を作ることを目的に、たった一人、帝国Britanniaを転覆する戦いに挑むと言う修羅道に足を踏み入れるのだった。

コードギアスのLelouch LAMPEROUGEは、Char AZNABLEに匹敵する魅力にあふれた悪漢カリスマの傑作である。しかも、Charは、副主人公だったのに対して、Lelouchは堂々の主人公である。時代は小生のような古い保守的な人間が好む真っ直ぐな主人公ではなく、目的のためには悪魔とも契約するような性格のねじれ曲がった悪漢主人公を求めているのです。少なくともAnime Fanの間では、近年この傾向は顕著ですね。悪漢が魅力的に描かれ人気を博するようになるのは昔からあることなのだろうが、近年の傾向の走りは、やはり、CharやらDragon BallのVegetaあたりなんでしょう。

こういった異常に頭が切れて、戦略性に富み、自信過剰で悪魔とさえ契約してしまうような主人公の末路は、悪魔Mephistopphelesと契約したFaustの例を挙げるまでもなく、古来後を絶たないが、Lelouchの末路入った一体どのようなものが用意されているのだろうか。

そして、一昔前のRobot Animeならば、絶対こっちが主人公だったろうと思われる真っ直ぐな副主人公枢木朱雀。彼は、日本敗戦時に徹底抗戦を唱えた最期の首相枢木玄武の遺児である。しかし、徹底抗戦を唱えながら抗戦派を抑えるために真っ先に自決してしまったとされる彼の父親は、実は当時10歳だった朱雀自信が父を止めるために殺害したのが真相だった。そんな朱雀は、幼少時代に人質として日本に送られてきたLelouchの親友でもあるという設定だが、今は名誉Britannia人となり、Britanniaの中で認められ、Lelouchのように血を流すことなく内部から変革していこうと言う穏健路線を貫き、Lelouchと対立抗争を繰り返すが、惹かれ合っていたEuphemiaを目の前で殺害され、Lelouchに対する憎しみを認め、決定的に袂を分かつことになる。Euphemiaのような聖女を主人公が殺害するところが第1季ではこの作品の面目躍如たるところだったが、ちょっと悲惨すぎる。Eupheがかわいそう過ぎる。