エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

社会保険庁についての一考察

厚生労働省の外局である「社会保険庁」が、いよいよ我が国の公的年金制度を崩壊させつつある。本省の方も、かつて病気をばら撒いておいて、なかなか責任を認めなかった前科があり、医師会の言いなりだったりこともある。あまり良い印象は残っていない。しかし、外局の方はここまでくると、ほとんどちんぴら級の屑役所だと言うことを天下に知らしめているかのようだ。そうでなくても、少子高齢化が進む中で、積立方式に改めようとせず、賦課方式に固執する我が国の年金制度は維持困難な状況にあるというのに、社会保険庁のようなところが取り扱っているとなれば、その崩壊は最早火を見るより明らかなことだ。

しかしながら、語弊があるかもしれないが、ここまで叩かれると社会保険庁の役人でなくても、いい加減やる気は失せるんだろう。今の社会保険庁は、長年のいい加減極まりない仕事の蓄積が災いして、真面目に仕事をすればするほど、新たな不具合が露顕する。真面目に仕事をすればするほど、褒められるどころかマスコミに叩かれる材料がこれでもかこれでもかと湧いて出てくるし、それらを材料に国民から罵られる。これでは、いくら組織としての自業自得とはいえ、普通の人間が堪えられるような状況ではあるまい。

この手の後ろむきの仕事で、しっかり責任を果たせるような人材が豊富だったならば、最初から今回のような不祥事は起きていない。まともな頭を持っている指導者ならば、5分も考えただけで、一連の年金問題社会保険庁の役人には解決できないと分かるはずだ。

残念ながら、最近表面に現れて、国民の耳目を集めるところとなった役所や役人の不祥事は、かなりの部分、同じような文脈で説明できる。この十余年に亘って、お上に弱かったはずの国民性が、俄かに公務員批判を公然と行うようになった。鶏が先か卵が先かの違いはあるが、とにかく、公務員は不正や怠業を繰り返し、国民は公務員の保障された地位を妬んでか、公務員批判を繰り返した。特に小泉政権の5年間は、役人にとっては苦渋の時代だったことだろう。もともと、がんばっても、がんばらなくても、民間のような差が出にくい職場である。やる気をなくして、益々不正や怠業が目立つようになるのも分からないではない。不幸なのは国民で、真実は正義感からか嫉妬心からかは別にして、公務員に唾すると、その唾は数倍返しで、自らに降りかかってくると言うのが今の状況なのだろう。

それでは、我が国は、社会保険庁の職員たちに代表されるような公務員に骨の髄まで寄生されて、弱体化し、衰退していく運命なのだろうか。半分は当たっていて、半分ははずれなのだろうと思う。民間部門は、やはり、役所よりはずっと健全なのだ。例えば、近い将来と認識されつつある「原油の高騰と枯渇」、人口減少による国内市場の急速な縮小、そして、米国の景気急減速など、明らかな逆風が吹き荒れる自動車業界。遠い将来と考えられてきた石油非依存型自動車への転換なども既に射程距離に入った感があるが、そうなったときに、我が国のT社やH社が現在の地位を維持できるのか、おそらくはそうなるものと信じて良いのではないか。確かに、ガソリンエンジンの技術と電池自動車の技術は全く異なるものなのかもしれない。しかし、何万点の部品を有機的に結びつけて、高い走行性を持った自動車を作り上げる技術は、一朝一夕に追いつかれ、追い越されるような類のものではあるまい。

真面目に勤勉に働き、技術を蓄積してきた我が国の民間部門の力を信じたいものである。