エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

平成の開国論の胡散臭さ

現政権が国益にかなう何かを成し遂げる可能性は、相当低くなったと思います。それでも、改造後の内閣を最強と言い張り、税と社会保障の問題を一元的に解決するとし、また、昨年秋頃から突然持ち上がってきたTPP加盟論議を「平成の開国」と謳っています。社会保障制度及び税制並びに財政再建の問題を早急に俎上に上せることは賛成しますが、その議論の中核を担う人物が挙動不審で仲間内の信用度さえ低いのでは、不毛に終わるのが見えているようで身の毛のよだつ思いです。そして極めつけのTPPに至っては、非常に筋の悪い、胡散臭い話のようです。通産官僚で、京大に出向している若手気鋭の論客、中野剛志氏の批判的解説は、非常に説得力があります。

中野氏は、小生が支持している「賃金本」派のデフレ構造論(註)には与していないように見受けられますが、デフレをまず解決することが先決とお考えで、結果としてデフレを助長することになるTPPなど論外という立場です。その他、政治的にも、戦略的にもTPPは筋が悪い政策と主張されています。

中野剛志先生のよくわかるTPP解説―日本はTPPで輸出を拡大できっこない!

(註)「デフレの正体」の藻谷浩介氏などが唱えている「我が国のデフレの本質は、いわゆる景気循環が生み出したデフレではなく、大規模な生産年齢人口の減少という人口動態が必然的にもたらす総所得の減少によるデフレである」という説。この説からすると、現在の米国経済の現状は、景気循環型なのか、日本型の構造的デフレなのか、判断の分かれるところです。本年は、それがある程度判明してくるのではないかと思われます。