エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

2014年都知事選途中経過(1)

 先週末の細川元首相と小泉元総理大物コンビによる細川護煕候補の旗揚げ会見があり、しかもその旗幟が「脱原発」だったことで、主要紙・テレビ等の一部が、「すわっ、争点は『脱原発』か?」、「舛添、細川の2大候補の対決か」という流れを作ろうと動きました。

 しかし、今週後半には、新聞が報じる2大候補に相当胡散臭い過去があることを指摘して批判する論調がネットや民法ラジオ局などで見られるようになってきました。

 特に、細川護煕候補に対する批判は、大きくは次の2点に集約されるようです。そして、とても致命的です。第1に、細川候補がかつて首相を辞任した経緯です。猪瀬前都知事は、不透明な5000万円の金銭授受でその職を辞しましたが、元首相は、佐川急便からの1億円の金銭問題が直接の原因で首相の座を放り出したのです。そのことを思い出した人は、意外に多いようです。第2に、「そもそも脱原発は、自治体の長である都知事選挙の争点とするのはおかしい」という指摘です。地方自治法第1条の2は、国家と地方自治の役割を次のように規定しています。

第1条の2 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
2 国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。

 つまり、「脱原発が国家の存亡にかかわる」との認識ならば、それは国の専権事項であって、地方自治体がとやかく言うことではないのです。さらに、東京電力と東京都の係わり合いの見地から、脱原発に影響力を及ぼすという観点も、実は1.2%に過ぎず、54%は原子力損害賠償機構に保有されているのであって、お話にならないのです。

 その上、この方は、東京五輪は返上すべきだという持論をお持ちの他は、都政についての具体的な政策を何も用意されていなかったご様子で、記者会見を2度も延期するという失態を早くも露呈しており、単なる殿のご乱心であったことが白日の下に曝されつつあります。

 次に、自民党及び公明党の事実上の公認候補といえる舛添要一候補についてです。早くから前都知事の後任候補として名前の挙がっていたこの方の場合、人格に関する疑問符が何といっても大きな足かせになりそうです。第1に、自民党を去ったことについて本人は離党といっておりますが、「除名」です。自らはかつて批判をし、除名処分をくらっている組織の支援を受けるというのは、男としてどうなのでしょうか。そしてそのブーメラン効果は、自民党に対しても大であるはずです。小泉Jr.が「舛添候補を支援する大義はない」と言い切っているのは、父親に対する側面支援の意味合いもあるのですが、全くもって健全な見解だと思います。そして、この候補にも、政策に関する大した見識があるとは到底思えません。何せ、外国人参政権推進派あるいは容認派と目されているくらいですから。

2014/01/16 ザ・ボイス 青山繁晴 ニュース解説