エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

東京電力の株主現況

東京電力の株価が原発事故以来暴落していることは周知の事実ですが、今週月曜日の5月2日現在の株価は、426円でした。今年に入って最高値が2197円ですので、最高値から80%以上の下落率です。過去5年の株価推移を見ると、3000円を挟んで上下1000円程度の動きですから、原発事故後の下げは本当に強烈だったことがわかりす。東京電力といえば、世界最大の民間電力会社として知られ、安定株価と比較的高い配当利回り2%強で知られていました。

東京電力がどの程度の規模の会社であるかを見てみます。同社は、1951年8月設立、総資産13兆2040億円、自己資本2兆4657億円、総従業員数53000人(以上の数字は連結、2010年9月現在)の超巨大企業であり、同業他社と比べても、少なくとも国内では断トツの規模を誇っています。
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次に、本題の一体誰が東京電力の株主であるのかという点を見ていきます。主体別の内訳は、政府・地方公共団体が3.2%、金融機関36.5%、個人・その他37.7%、外国法人等17.0%などとなっています。個人・その他は605665人が506884700株保有しているので、1人当たり平均で836株となります。また、大株主ですが、株価が安定的で比較的高配当と言うことなので、年金基金などの機関投資家保有割合が比較的多いかと見当をつけて見ていきますと、日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 59845千株、第一生命 55001千株、日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 54850千株日本生命 52800千株、東京都 42676千株三井住友銀行 35927千株、みずほコーポレート銀行 23791千株、従業員持株会 22179千株となっています。

政府・地方公共団体保有株数43461千株ですので、そのうち98%は東京都の保有分であることが分かります。1株当たり今年最高値の2197円から426円まで1771円の減損が生じていますので、この数字を東京都に当てはめてみると都はこの半年足らずで755億円を失ったことになります。同様に第一生命で974億円、日本生命935億円、そして三井住友銀行が636億円です。また、東電の従業員も持株会保有株が393億円ほど目減りしていることになります。

さて、日本トラスティ・サービス信託銀行及び日本マスタートラスト信託銀行とは一体何者なのでしょう。Wikipediaによれば、日本トラスティ・サービス信託銀行とは、主に年金信託及び証券投資信託に係る有価証券等の管理業務、カストディ、元利金支払事務等、資産管理に係る信託業務及び銀行業務を行う資産管理特化型信託銀行です。信託残高は179兆円(2009年9月末)、りそな銀行住友信託銀行及び三井住友トラスト・ホールディングスがそれぞれ三分の一ずつの株式を保有しています。一方、日本マスタートラスト信託銀行とは、同様の資産管理特化型信託銀行で、信託残高は109兆円、預かり資産を含む管理資産残高合計は254兆円(2009年9月末)、主要株主は、三菱UFJ信託銀行日本生命明治安田生命及び農中信託銀行です。

このことから見て取れるのは、相当数の年金基金及び証券投資信託もかなりの規模の東電株を保有しており、これらは今回の原発事故でそれなりの打撃を受けたのは間違いないということです。