エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

石原新党の動向

 先週、25日の木曜日に石原東京都知事が緊急記者会見を開き、石原新党を立ち上げ、国政に復帰するために、都知事を辞任する意向を発表しました。国の行く末を憂えて、齢80にして立った石原氏の勇断には、敬意を表します。そして、保守勢力の結集という意味においても、それなりの影響を及ぼすことになるのでしょう。

 しかし、石原氏は、やはり「東京村の村長」までの人で、国政においてどれだけ好ましい状況を創り出すことができるのか、大いに疑問です。そう考える理由の第1は、先の自民党総裁選挙における、長男石原伸晃氏の敗北です。石原氏にしてみれば、長男伸晃氏が自民党総裁に就任した上で、自らの政治理念を継承してもらいたいという思惑があったものと思われますが、明らかな公私混同であり、誤った判断でした(「石原伸晃氏支援は都知事との約束」森喜朗元首相)。谷垣前総裁を後ろから刺した形での立候補となった伸晃氏には、2度目の機会はやってこないものと思われます。

 長男への継承を事実上断念せざるを得なくなった石原氏は、政治スタイルに共通性があり、馬が合う橋下大阪市長日本維新の会との連携に期待を寄せているようです。石原氏は、「大眼目は官僚による硬直した日本支配を壊していくことだ。原発政策や消費税増税への対応は大事だが、ささいな問題だ」(石原氏、第三極結集で「官僚支配壊す」)と自身が立ち上げる新党の母体である「たちあがれ日本」の幹部との会談で強調したと伝えられています。この発言は、氏の立場が橋下氏などと同じく、「ショック・ドクトリン」を利用した抜本的改革派であることを表しています。さらに、日本維新の会は、渡辺善美氏の「みんなの党」と並ぶ生粋の新自由主義的主張を政策綱領に掲げる政党です。「たちあがれ日本」は、経済政策において、新自由主義とは相容れない政策を掲げてきた政党だけに石原氏の発言は、はなはだ筋の通らない主張に聞こえてしまいます。加えて、新党に合流することが予想される盟友亀井静香氏の主張も、平沼赳夫氏と同じく反新自由主義です。

 現在のような非常時には、氏の主張のとおり、薩長連合並みに何でもありでよいのだというのも分かる氣がします。それでも、本来保守というものは抜本的改革など夢想してはならず、生涯をかけて問題に向き合ってゆく覚悟を決めて、永遠の対症療法を講じてゆくというものであるはずです。