エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

安倍総裁誕生の立役者

 安倍新総裁誕生に大いに尽力した自民党の実力者は2人思いつきます。1人目は、いうまでもなく麻生元総理で、陰陽でいえば「陽」の方の代表です。麻生元総理は、当初から石原伸晃を総裁に据えようと目論んでいた長老たちの動きに抗して「(谷垣総裁を裏切った)石原(の在り様)は、自分の渡世とは相容れない」と発言し、また、自らの派閥為公会の例会(9月13日)で安倍晋三支持を表明した際、「負け選挙を覚悟で推薦人になることは、冷や飯を食うことを覚悟することだ」と自派の議員たちに覚悟を求める挨拶を行っています。そして、9月20日自身が絶対の人気を誇る秋葉原での聴衆5000人を集めたといわれる熱狂的な演説会です。安倍新総裁の誕生は、この演説会の成功を境に現実味を帯び始めます。

20120913-麻生太郎(為公会例会)
麻生元総理 「石原を支援する人の神経がよく分からない」
9月20日(木)安倍晋三・総裁選秋葉原駅前街頭演説

 そして、もう1人、安倍新総裁誕生に重要な役割を果たした「陰」の立役者は、いうまでもなく、石原伸晃その人です。森喜朗元総理大臣など自民党長老は、石原慎太郎知事との密約もあり、石原伸晃氏を次期総裁に据える方針で動いていたのは確かです(「石原伸晃氏支援は都知事との約束」 森喜朗元首相)。そして、憲政史家の倉山満氏のようにこの時点で石原氏は他の候補に対して5対0くらいのリードをしていたという評価をする人もいます。実際、第1回目の投票で最多の国会議員票を得たのは石原伸晃氏でした。

 しかし、5点差の大量リードを自殺点で自ら手放してしまったのが、今回の総裁選挙の実態だったようです。

 自殺点その1:放って置けば勝手に長老たちが始末してくれた谷垣総裁に対して、早く撤退しろよ的発言をして、後から刺してしまった。短気な性格は父親譲りか?

 自殺点その2:中国は尖閣諸島に攻めてこない。なぜなら、無人島だから発言。石原家の父子の会話は、本当に行われていたのでしょうか?

 自殺点その3:福島第1サティアン発言。意味不明ながら明らかな失言。

 自殺点その4:総裁選討論で何を言っているのか分かりづらい。

 ここまで来ると、そもそも党員費を支払って党員になっているような政治に関心のある層からの支持は全く失せてしまい、石原氏は第1回目投票であえなく敗れ去ります。しかし、振り返って見ると、この人の行動は、まるで意図して演じてきたかのように安倍新総裁誕生に大きな役割を果たしたということができます。自殺点その2など、石原慎太郎東京都知事の日頃の発言に接していて、どうしてその長男がこんな失言をしたのか、訳が分かりません。正に現実は小説より奇なるものを地で行っいるように思えます。