エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

筋が通らない大統領選挙関連報道

 今回の米国大統領選挙に先立ち、主要候補二人によるテレビ討論が3回行われましたが、その3回目でトランプ候補が選挙が公正に行われない可能性があることを指摘し、選挙結果を受け入れるかどうかについて曖昧なことしか言わなかったことに関して、「民主主義を冒涜すること」だという厳しい批判を対立候補と大手メディアなどから受けていました。

 そのことを伝える10月20日のロイター記事は、以下の通りです。

[ワシントン/デラウェア(米オハイオ州) 20日 ロイター] - 米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏は20日、11月8日の大統領選挙の結果がトランプ氏勝利となれば受け入れると表明した。こうしたトランプ氏の態度が、大統領選と同時に行われる議会選挙に悪影響を及ぼすとの懸念が共和党内で広がっている。

 選挙戦で不正が行われていると繰り返し主張しているトランプ氏は、19日夜に行われた第3回候補者テレビ討論会で、自身が選挙で敗退した場合、選挙結果を受け入れるかどうかは「その時に話す」とし、言明することを避けた。民主党クリントン候補は「恐ろしいことだ」と批判。オバマ大統領も「危険だ。選挙の正当性に関して国民に疑義を抱かせようとすれば、民主主義を冒涜することになる」と述べた。

 トランプ氏はオハイオ州での集会で発言を修正し、「私が勝利すればこの偉大で歴史的な大統領選の結果を完全に受け入れることを約束する」と表明。「明確な」結果を受け入れるとしつつも、「疑わしい結果であれば、法的な異議申し立てを行う権利を取っておく」とも語った。大統領選の世論調査でトランプ氏の劣勢が続く中、焦点は大統領選と同時に行われる連邦議会選に移っている。2008年の大統領選で敗れた共和党ジョン・マケイン上院議員は選挙結果を受け入れるのが「米国のあり方」だと指摘。「2008年の結果は気に入らなかった。だが、認める義務があった。そして躊躇せずに認めた」と述べ、「潔さを示すためだけに認めるのではない。米国民の意志を尊重することで、それは米国の指導者としての一番の責務だ」と指摘した。マケイン氏はトランプ氏への支持を撤回した。

=== ロイター記事 転載終わり ===

 ところが、選挙結果は大方の大手メディア等の予想に反してトランプ候補の勝利に終わりました。それに対するヒラリー候補支持派の一部が選挙結果を受け入れないとデモを行っているのです。これに対して、民主主義を冒涜するものという批判的な論調はほとんど見られず、トランプ新大統領は米国を分断する張本人のような書き方をするのはどうしたことか。例えば、以下に転載した時事通信の記事を読んでみてください。

「反トランプ」全米に拡大=NYで1万人デモ、深刻な分断−大統領選 時事通信記事

 大統領選で共和党ドナルド・トランプ氏が接戦を制したことを受け、一夜明けた米国では9日、「反トランプ」デモが全米の10都市以上に広がった。デモは9日夜(日本時間10日午後)になっても収まらず、ニューヨークでは1万人近くが「私たちの大統領ではない」と叫びながら行進した。

 デモは、ペンシルベニア州フィラデルフィア、首都ワシントンなど、民主党支持層の多い州や都市を中心に行われ、若者や中南米系など、それぞれ数百人から数千人が参加した。「団結する時だ」というトランプ氏の呼び掛けに反し、深刻化する米国社会の分断を改めて印象付けた。CBSテレビなどによると、ニューヨークのデモは、午後6時に数十人で始まったが、トランプ氏が拠点とする「トランプ・タワー」を目指して行進するうちに参加人数は7000〜1万人に膨れ上がった。デモは、タワー前の通りを占拠した後、トランプ氏関連のホテルなどに目的地を変え、さらに続けられた。参加した男性はCNNテレビに「選挙結果を見てわき上がった不安を解消するために来た」と語った。

 ロサンゼルスでは9日深夜まで、数千人のデモが行われ、「女性を尊重しろ」などと声を上げた。数百人が幹線道路を埋め、封鎖される騒ぎにもなり、ロサンゼルス・タイムズによると、拘束者も出たという。ロサンゼルスの市庁舎付近では、トランプ氏が暴言を繰り返してきた中南米系の若者ら数百人によるデモが行われた。参加者は「ビクビクしながら暮らさない」「戦い、立ち上がれ」などのシュプレヒコールを上げた。カリフォルニア州オークランドでも、道路を封鎖したデモ隊の参加者が車に接触するなどして負傷者が出た。(2016/11/10-20:26)

=== 時事通信記事 転載終わり ===