エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

プーチン大統領来日

 本日、露西亜プーチン大統領が来日します。安倍総理は、山口県と東京でプーチン氏と日露首脳会談を行います。期待されている領土問題の解決は、事前に露西亜側の厳しい姿勢が報道され、期待値が大分下がっている状況です。

 親米保守の立場に立っているとみられる読売新聞は、来日前のプーチン大統領に単独インタヴューを試みています。その中でプーチン氏は、記者の質問に対して次のように答えています。

「ご存じのとおり、私は日本に非常に大きな関心を持っている。日本の歴史と文化に興味がある。だから、日本に関する自分の知識を広げて、日本に行けば楽しいと思う。私は東京に行ったことがあるし、二つの街に行ったことがあるが、そこ(山口県)にはまだ行ったことがない。しかし、どんなところなのか、何かおもしろいところがあるのか知りたい。安倍首相に詳しく説明していただけると信じている。」

「あなたは今、日ソ共同宣言の締結60年に触れた。ちなみに、これは国交回復60年のことで、日本とロシアとの関係はもっと深く根を下ろしている。我々には150年にわたる外交関係がある。150年以上だ。だから、60年前だけでなく、もっとさかのぼって見つめなければならないという気がする。そうすれば、ずっと先の未来を見通すことができるだろう。
 100年以上にわたる両国関係の歴史全体を見ると、この60年、我々の関係にはさまざまなことがあった。悲劇的な局面もあった。国交を回復した1956年以来、残念ながら両国間の協力において、我々の今日の希望に沿った適切な関係を築くことができる基礎はまだない。我々は世界、極東地域におけるパートナーだが、平和条約がまだないため、両国関係を多面的に進展させることができない。
 だから、当然、我々は平和条約の締結をめざす。我々は完全な関係正常化を求めている。ロシアと日本との間に平和条約がないことは、過去から引き継がれた時代錯誤だ。時代錯誤は解消されるべきだ。しかし、どのように解消するかは難しい問題だ。
 あなたは共同宣言に触れた。その宣言には、両国が履行すべき、平和条約の基礎となるルールが書かれている。共同宣言を注意深く読むと、まず平和条約を締結し、その後、共同宣言が発効して、二つの島が日本に引き渡されると書いてある。どのような条件の下で引き渡されるのか、どちらの主権下に置かれるのかは書かれていない。にもかかわらず、共同宣言は署名された。
 署名されただけではなく、ソ連の議会であった最高会議と日本の国会によって批准された。しかし、その後、日本側は共同宣言を履行しないと発表した。そのあとでソ連も、共同宣言がソ連のみで一方的に履行されてはならないと発表した。2000年に当時の日本の首相は、共同宣言に基づいた交渉に戻るように私に呼びかけた。私は賛成した。
 それ以来、我々は対話を進めているが、日本のパートナーや友人たちが、共同宣言の枠組みの中にとどまっているとは言えない。
 安倍首相と私の交渉について予測するのは時期尚早だ。もちろん、前進を期待している。」

プーチン露大統領インタビューの全文

 米国にトランプ大統領が登場することが決まって、国際情勢は急速に動き始めています。パワーポリティックスの信奉者達が論理的に導く現時点での推論は、露西亜との対立関係を解消し、協調を模索するトランプ次期大統領によって、米露関係の改善が見込まれるということです。そのため、日本との友好関係を進め、欧米からの制裁解除の突破口にしたいという露西亜側の切迫感は、ここにきてほとんどなくなったとみるべきだから、北方領土返還交渉は進まないという結論に至るというものです。

 一方、一貫して日露関係の改善の必要性を主張する馬渕睦夫大使は、露西亜露西亜的な近代国家にするために組む相手は日本しかいない、そして、そのことは露西亜人が最も氣にしている安全保障の問題と直結しているから、カードはむしろ安倍総理の方が握っているのだといっておられました。プーチン大統領安倍総理はそのことを十分わかった上で、二人きりで会談するということです。確かにプーチン氏は、日本の歴史と文化に興味があると言っており、造詣も深いようです。馬渕大使の御高見が少しでも当たっているならば、期待値が下がった今回の日露首脳会談にも多少の希望を託しても良いように思えます。