エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

為替市場見通し

米国の投資Fund Steel Partnersが、サッポロHDに友好的TOBをかけると報道された。友好的TOBと言ったって、「取締役会がTOBを拒否すれば、敵対的TOBをかけるぜ。」と後ろ手にナイフをちらつかせて、微笑みかけてくるのを友好的TOBと言うのですね。Steel関連銘柄は、サッポロの他あのアデランス、日清食品ノーリツ、そして、江崎グリコなどなど、大前研一氏の解説によれば、サッポロ以外は、買収しても買い手を探すのが難しい会社ばかりで、単に高値売りぬけ狙いではないかと言うことだった。

サッポロ党のの私としては、この件であまりもめて貰いたくないな。「黒」は旨いし、消えてしまった発泡酒Brauもできは悪くなかった。その後を継いだ「生搾り」は、発泡酒とは思えない旨さ。「Draft One」は、明らかにBeerとは違う飲み物だが、それなりの旨さはある。ただし、「恵比寿」は絶品でも、恵比寿の黒はとてつもなく不味い。こうしてみると、麒麟や朝日に負けない品揃えなのに、つくづく商売が下手な会社のようだ。ちなみに、新第三酒、「うまい生」を本日試飲、度数が5.5と少々高めだが何の取柄もない発泡酒で発売の意図がわからない。朝日の「極旨」はそれなりの味を出しているのと対照的。

楽天証券のOnline Seminarで、田中泰輔氏の2007年為替市場の見通しを聴講する。なかなか斬新で、説得力のある話だった。

1.為替相場は、主要国の景気循環にそって動いている。米国については、ほぼ教科書通りの動きをすると考えてよい。すなわち、米国経済が好調な時、USDも強い。現在米国経済は、景気循環のほぼPeakにある。しかし、金利水準は、昨年6月まで、上げてきたとは言え、引き締めではなく、中立(仮説1)。

2.円相場は、特殊。円は、日本経済が好景気の時、円安になり、景気後退期に円高になる。その主な要因は、USD/円の為替が、日本より米国の景気動向に左右されるから。なぜそうなるかと言うと、米国は恒常的に経常赤字であり、日本は黒字であったため、日本が米国の受け皿になってきたと言う仮説を立てることで説明できる(仮説2)。

3.すなわち、米国経済好景気→内需拡大で輸入が増える・金利は上昇→日本は輸出を伸ばし、米国に遅れて景気が上向く・経常黒字分米国国債を買う、民間部門も景気が良いので豊富な資金を高金利の外国債など海外投資に向ける余裕があり、実際そのような行動に出る→USD高・円安→日銀は円安なので金利を上げることができる。

4.2006年は、USDを売っても報われない年だった。2007年は、メリハリのない年になりそうだ。

確かに米国は景気循環の成熟期の後半に入っている。しかし、金利は中立であり、日本の超低金利の影響もあって、世界的に流動性は潤沢な状況が続いている。また、亜細亜経済は、発展途上国状態から離陸し、かつての日本がそうであったように、自国通貨高になったら、金利を下げて景気を浮揚させる所にまで安定度を増してきたと考えられる(仮説3)。従って、米国経済は、そう簡単に急激な落ち込みを見せることはなく、金融引き締めをして仮に後退期入りしても、亜細亜経済を中心にした世界経済は、米国経済に連動して、急落する可能性は低くなっている。

5.以上から、日銀の利上げについて言えることは、日銀の利上げが円高要因ではないと言うことだ。当然のことながら、日銀の利上げは、日本の好景気時に(=円安を見計らって)行われる。円高がきつい時、仮に好景気であっても日銀は決して利上げはできない。この時期は、米国の景気がまだ成熟期の絶頂期前後にあり、為替は米国経済によって決定されるのであって、日銀の利上げは結果であり原因ではない。

うーん、聴講したときには、なるほどと思ったんだが...。確かにUSD/円為替は、理論的には米国と日本の金利のどちらからも影響を受けると習ったが、実際には米国金利の影響力が圧倒的に強いというようなことを昔やったことがあるような気がする。しかし、良く考えてみると、わかったようなわからないような所もある。結論としては、日銀ではなく、Fedがいつどう動くかと言うことが重要な問題と言うことか、その点は全く異存なし。