エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

憲法改正について

今年の憲法記念日は、現行憲法施行60周年なのだそうで、安倍政権が憲法改正を明言していることとも相俟って、それぞれの立場から政治家等の発言が相継いだ。日本で改憲と言うのは、即ち、憲法第9条(特に第二項)の削除もしくは書き換えによって、戦力の完全放棄の理念を変えることだ。GHQから押しつけられた翻訳憲法を日本の伝統に即した憲法の内容に全面的に書き換えるのだと言う主張などは、気持ちは分かるが、何のための憲法改正か、焦点をぼやかすだけで有害な議論とさえ思われる。

9条を改正すべきかどうか。答えは、この60年間、我が国が戦争に巻き込まれることなく、平和と繁栄を享受できた最大の要因が何であったかと言う問いへの回答による。日本の隣国数カ国は、明らかな我が国や他の亜細亜諸国の主権侵害を繰り返してきた事実からして、平和を愛する諸国民であるとは到底言い難い。これまで外国からの本格的な侵略行為を思い止まらせてきた最大の要因は、日米安保条約駐留米軍以外の何者でもない。憲法の理念で戦争が回避されてきたと考えることは、誰がどう見ても非現実的と断ぜざるを得ないだろう。

国家の存在する意味は、国民の生命と財産を守ることにある。それができない国に国家を名のる資格はない。米軍が我が国に駐留する限り、外国からの本格的な侵略は回避できるだろうが、戦力の背景がない日本に外交がないことを見透かした外国による主権侵害は、半永久的に続けられることだろう。平和主義の理念は保持すべきだが、戦力の全面的な放棄を謳った夢想的平和主義は、弊害こそあれ、何の平和にも寄与しない。今護憲を言う人たちが、アマダ・シローのような命を賭して自らの理想を守る理想主義者なのか、戦わずして手を上げる単なる敗北主義者かそれ以下の裏切り者なのかは、見極めていかなければならないだろう。

ところで、今年は、久々仏大統領選挙。日本では連休最後の日曜日に決選投票が行われる予定のようだ。保守陣営のNicolas SARKOZY候補は、ハンガリー貴族の父親とユダヤギリシャ人の母親との間に生まれた移民の出身で、純粋な仏人ではない。一方、Segolene ROYAL候補は、社会党だが政治エリート養成校ENA出身。何やら、保守と左派の出自がねじれているような感じだ。これまで、競争重視の米国型経済政策の導入などで保守派のSarkozy候補が優勢だったようだが、ここに来てRoyal候補が、中国の石油確保を目的にした紛争地域Sudanへの攻勢を批判するなど、英米陣営的な発言をしている。これに対してSarkozyは、Royalが北京五輪不参加まで持ち出したことに対して、五輪は中国を国際標準に導くきっかけになるとして、不参加には反対を表明したようだ。Euro Powerによって、再び覇権争いの一角にちらちらと顔を出すようになった同国の今後の行方を占う面白い選挙になりそうだが、ひょとして、Royalが来るのかなと思えてきた。しかし、どちらが大統領になっても先を読むのが難しい国だ。