エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

風林火山は大河最高傑作

今年の大河「風林火山」の出来が良いという話、にもかかわらずこの程度の視聴率に留まっているのが信じられないと言った類の話は、Webでよく目にします。かく言う私も後は長尾景虎を演ずるGACKTさんの出来次第と思っていたのです。良いですね、GACKTさんも。と言うより、ここまで来ると、この作品はもはや好循環の波動に支配されていて、余程のことがない限り、悪くなりようがないのかもしれません。

武田晴信が、今風の経営者も好む孫子から取った「風林火山」を旗印に用いたように、まあ、現代人にも分かりやすい、勝つ戦略、論理的な経営を目指して組織作りを行ったのに対して、景虎は自らを毘沙門天の生まれ変わりと信じた、ほとんど常人には理解し難いぶっ飛んだ武将でした。それにもかかわらず、正に軍神のごとき強さを見せ、十歳余りも年上の晴信と組織力の武田軍団を敵に回して一歩も引かないどころか、むしろ優勢に戦を遂行した節さえ有り、常識的には当時の最強軍団に最強の主君を戴いた武田家の天下統一を阻んだ最大の要因と成りました。軍師山本勘助にとっても、越後の景虎の天才は正に計算外のことだったのでしょう。

その並みの武将の枠には納まらない景虎の役をGACKTさんが期待通りに演じている感じです。天才は一歩違えると狂気の世界ですから、そんな剃刀のように鋭い若い景虎の天才と狂気、そして、意外にも器の大きさを持った不可思議な人物像を上手く演じていると思います。そして、その景虎三顧の礼を持って迎え入れた緒方拳さん演じる宇佐美定満は、人生の全てをかけて景虎の父で梟雄とさえ言われた長尾為景に反旗を翻し、守護代として勢力を拡大の上昇気流に乗っていた為景にも決して屈しなかった人物で、恐らく、景虎同様に激しかった性格が、経験を積んで酸いも甘いも知り尽くしていったような経歴の人物なのでしょう。景虎には正に必要不可欠の側近と言えます。

風林火山」には、今後も期待しますが、逆に悪循環に陥ってしまったように見えるのが安倍政権です。安倍首相の人事能力の欠如は、もはや致命的欠陥と言わざるを得ない状況です。人事で党の旧体質をぶち壊し、次第に党を掌握していった前首相とは人事の一点で雲泥の差が有り、恐らく、人事能力の欠如した現首相が内閣改造という人事で悪循環を断ち切ることを期待するのは、雀に鴻鵠のごとく飛べと頼むようなものなのでしょう。政権発足当初は多少とも期待していただけに寂しい限りです。