エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

平成のカイコク論の胡散臭さ_2

現政権が主張する平成の開国論議は、「壊国」と言い換えた方が良いような胡散臭さです。本日主要閣僚である前原誠司外相が辞任し、政権の求心力は下がる一方ですが、その裏でTPPの準備作業ともいえる「規制仕訳」がこの週末に着々と行われていました。

一体Globalizationの本質とは何だったのか? Globalizationとは、企業が国を選ぶということです。企業を資本と言い換えた方がより正確かもしれません。かつて、トヨタ、日産、Panasonic、SONYを始めとする日本の輸出企業は、日本で生産し、生産した商品を海外に輸出して外貨を稼いでおりました。つまり、まず1億数千万人の国内市場を相手に熾烈な競争を繰り広げ、その中から勝ち抜いた商品を海外向けに改良して、海外市場を開拓していくというようなことを行っていました。この結果、日本の輸出企業が海外市場を開拓したことによる儲けは、日本人の賃金に反映され、日本政府の税収の増加にほぼ直接的につながりました。貿易の自由化万歳の時代です。

しかし、Globalizationの時代にこの幻想は通用しません。トヨタ、日産及び本田技研などを見れば明らかなように、企業は現地生産を選択します。また、日本人に支払う賃金が高過ぎると思えば、簡単に外国人労働者を雇用しようとします。そのような環境を御膳立てする協定がTPPです。今回有力なTPP推進勢力の一つが、政府、報道機関などと並んで財界なのは、非常に分かりやすい点です。確かに、日本の産業構造は、突出して強かった自動車産業を中心とする輸出産業に依存して、食糧及びエネルギーを買うための外貨稼ぎをしてきたという見方はできるのかもしれません。しかし、主に輸出企業に有利とされるTPPに参加して、仮に韓国企業などとの激烈な競争に勝ったとしても、その恩恵にあずかるのは株主と経営者だけであって、一般の日本人にとっては、賃金が上がらず、下手をすれば低下する、そして、日本政府にとっては、産業の空洞化と法人税の引き下げで、税収も減る、というのがGlobalizationを進めた先に見えてくるもののようです。

そして、もう一つ注意しなければならない点は、一極による支配の終わりが2008年の金融危機で顕在化し、世界が液状化していることです。現政権も、歴史的な観点からは、そのような大きな流れの中でとらえることができるでしょう。こういう液状化した世界では、獣化した国と国の国益むき出しのぶつかり合いが、秩序ある時代に比べ、先鋭化してくることは、「尖閣諸島」及び「北方領土」で既に経験済みです。どこの国も他国を助けている余裕はなく、抵抗しなければ他国から奪おうとするのは、帝国主義時代に戻ったかのようです。「TPP」はその延長線上にある仕掛けだということに気付かなければなりません。TPPを農業の問題としてばかり考えているとその本質を見誤ります。人、物、サーヴィス及び金の全てに影響を及ぼし、ひいては我が国の主権を脅かす問題となり得ます。「明治の先人たちが日露戦争に勝利して関税自主権を回復したのが1911年、その丁度100年後に我々は再び関税自主権を放棄しようというのか」という中野剛志氏の問いかけは全ての日本人に向けて発せられているのです。

頑張れ日本!1周年・TPP問題シンポジウム[桜H23/2/5]