エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

解散を決めた野田首相の真意

 主要国の国政選挙や指導者の交代が重なった今年、我が国も滑り込みで解散・総選挙を断行することが決まりました。1箇月にわたる政治空白が生じた隙に尖閣への侵入などないことを祈るばかりです。もっともそんなことが起これば、自民党の地滑り的勝利がほぼ確定してしまうことになるのでしょう。

 しかし、今回の解散劇では、少なくとも野田首相のしたたかさ(=ずる賢さ)、そして喧嘩師としての優秀さを改めて痛感させられました。

 野田首相にとってこの時期に解散に打って出たことの意味は大きく2つ挙げられると思います。一つ目は、「内閣不信任案の可決→内閣総辞職(解散はできない状態に追込まれて)→民主党細野モナオ首班+国民の生活の連立政権成立」を阻止すること、二つ目は、「第三局の台頭による民主党の埋没→かつての細川内閣的な石原内閣の成立という石原さんの野望」を阻止すること、だったのではないでしょうか。ここでの野田首相の主要な政敵は、小沢一郎氏及び第三局の橋下徹氏や石原慎太郎氏などです。特に、後のない小沢氏と石原氏にとっては、先手を打たれ、厳しい解散になったと考えられます。

 とはいえ、民主党の行く末には、非常な困難がつきまといます。選挙の主要な争点は、(1)消費税引上げの是非、(2)TTP参加の是非、(3)憲法改正、(4)原発政策といったところでしょうか。野田民主党のこれらの論点に関する主張は、ことごとく誤っている点がとにかく致命的です。

 さらに、経済政策は、安倍自民党がリフレ派、ケインズ経済学的立場(安倍総裁はかつて自分を抜擢してくれた小泉元首相の新自由主義的政策を事実上否定する立場です「安倍 晋三 自民党総裁 in 日本アカデメイア(11月7日)」)に対して、橋下大阪市長の維新の会とみんなの党竹中平蔵流のばりばり新自由主義と見ることができます。この近年自由主義世界を二分する2つの大潮流の論争の中で、基本となる経済政策など持たぬ民主党が埋没し、きれいに消滅していくのが必然のように見えます。