エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

一票の格差の違憲状態下の総選挙

 今回の解散・総選挙を前に、「零増5減」の格差是正法案が成立しているにもかかわらず、新聞大手各紙は、「一票の格差違憲状態」の問題を取り上げています。これは、「零増5減」の格差是正法案が国会を通過していても、同法の施行が今回の選挙には到底間に合わないという事実を改めて指摘しているのです。既に升永(ますなが)英俊弁護士らのグループの投開票日翌日に選挙無効を求め、全国で計60件の訴訟を一斉に起こす方針が報道されています。

 大手紙の伝え方は、安倍総裁支持の産経が「違憲状態を放置した野田首相の怠慢」の責任を追及する論調(一票に格差是正されぬまま総選挙へ「『半人前以下』といわれているよう」首相の地元憤り)なのに対して、反安倍連合の朝日、毎日、日経、東京などは、与党民主党の責任追及そっちのけで、来る総選挙が格差是正問題のために違憲・無効になるかのような記事(「違憲状態のまま総選挙へ 一票の格差、無効の可能性も」)が紙面を賑わせています。

 憲政史家の倉山満先生によれば、違憲とは、格差4倍以上でその選挙は最高裁によって無効と判断される水準のことで、但しこの場合には事情判決という方法が用いられ、選挙の効果は無効とされることはこれまでありませんでした。違憲状態とは、経験則的には3倍以上で、このまま放置すると違憲だよという警告に過ぎないそうです。しかし、竹粼博允長官以下、現行の最高裁は3倍よりも少ない2.3倍の開きでも違憲状態の判断を下しており、それ以上の開きがあるといわれる今回の総選挙も当然のことながら違憲状態での実施ということになります。

 産経が指摘するとおり、1年半以上も違憲状態を放置したのは、まさに与党民主党の責任ですが、来るべき安倍総裁による自民党政権違憲状態下で成立した内閣という汚名を着せるべく、工作活動は行われ続けることに注意が必要です。