エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

NHKラジオのビジネス展望がひどい_その2

 5月3日の金曜日、憲法記念日で休日となったNHKラジオのビジネス展望は、経済評論家 藤原直哉氏が「日本の建て直しへの道」と題して解説を行っていました。相変わらずの聞くに堪えないすさまじい内容でしたが、日本の大手放送局や一部の経済評論家と称する人たちはこんなことを考えているのだということを観察するという意味はかろうじてあるのかもしれません。

 氏の立場は明確に反アベノミクスのようですが、最初に述べたことは、「円安が近隣諸国の窮乏化政策になっている」ということで、支那と韓国の経済が窮乏化すれば、めぐり巡って我が国の経済にも影響を及ぼし、従ってアベノミクスは長続きしないということのようでした。ほとんど風が吹けば桶屋が儲かる式に毛の生えた程度の論理で我が耳を疑います。

 第1に、アベノミクス大義は、デフレからの脱却であって、そのための大胆な金融緩和です。「円安はその結果に過ぎない、以上。」、だったはずです。第2に、この10年余、我が国はデフレによる円高と、国内市場の衰退の螺旋階段を駆け下り、逆に人民元を米国ドルに連動させて為替操作を繰り返す支那や米国ドルに対して通貨安を維持してきた韓国企業によって痛めつけられてきたのが実態です。韓国三星が史上最高益を享受する一方、倒産の危機にあえぐSharpは言うに及ばず、この数年間大赤字を計上し続けたSony、Panasonicを始めとする日の丸家電の惨状、そして、海外に打って出るしかないと国内投資をないがしろにして、支那への対外投資を推し進めてきた結果が、支那の高度成長の一部を支えた半面、我が国の成長力はどうなったのでしょうか。ここまで考えて、藤原氏が近隣窮乏化などという「たわごと」を解説しているならば、この人は、我が国の経済評論家とは言えないのでしょう。

 そして、氏は憲法改正論議などが引き起こす「日本の孤立化」というもはや経済問題とはいえない議論を持ち出していました。確かに、安倍首相が唱える戦後体制の抜本的な見直し作業は、日米同盟の行方も左右しかねない微妙な問題をてんこ盛りで含んでいることは確かです。しかし、氏が指摘する「孤立化」というのは、どこの国との関係での孤立化か、あまりに分かりやすくて奇妙な印象を受けざるを得ません。

 最後に、ここまで世界の中での孤立化ということを懸念しておきながら、この状況を突破するための日本の採るべき政策理念は「地産地消」で輸入品を国産品に置き換えていくことなのだそうです。グローバル主義に疑問を呈するのはよいとして、単なる思い付きで分裂症なのではないかと疑われます。しかも、財政支出を減らせというわけですが、深刻なデフレに対する処方箋もなく中身は空っぽで思い付きだけの薄っぺらさだけが残る言説となっています。

 おそらく、こういう類の反アベノミクス、疑アベノミクスの経済評論家が食っていける限り、アベノミクスで株価はまだまだ上がります。