エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

NHKビジネス展望が多少はまともに

 NHKビジネス展望では、相変わらず聞くに堪えない抽象論や妄想論が多々聞かれますが、解説陣の入替でまともな学者や専門家と思しき方の解説も聴けるようになって来たのは朗報です。7月17日放送の津上俊哉氏による支那のGDP発表を受けての解説では、ここ数年言われている支那の経済統計は当てにならないということを根拠を挙げて明確に指摘しておられました。

 支那2014年第2四半期のGDP成長率は、7.5%だったと発表されました。しかし、この数字は、かなり割引いて受止められるべきです。津上氏は、数量を足し上げてつくる統計は操作されていると考えるべきで、このように統計数字を作ることも、支那人にとっては国民を悲観的にさせないための苦肉の策なのだろうと述べています。

 支那経済が今年に入ってはっきりと後退期に入った証拠は、随所に見られます。例えば、不動産市場が調整期入りしたことは、地方の小都市だけでなく、沿海部の都市、さらに北京及び上海までもマンションの売行きが鈍っていることから明らかです。不動産市場の調整は、鉄鋼、家電、家具など裾野の広い分野に景気後退の影響が広がることを意味しています。

 支那の数量を足し上げてつくる統計はそもそも当てにならないので、これまで有効とされてきた電力消費又は鉄道貨物の荷動き(1〜5月期 前年比−6.3%)も全面の信頼を置くことはできません。そこで、物の値段の推移を見てみます。
 
石炭価格: 3年前の最高値から−27%、昨年から−10% 
鉄鉱石価格:3年前の最高値から−51%、昨年から−20%

とどちらも大幅に下落していることがわかり、明らかに投資の減少を示唆しています。

 そこで、支那政府は、分野を限定した投資及び規制の緩和などの経済政策を打ち出しているのですが、前者はこれまでのような成長を維持していくには、力強さに欠け、規制緩和は、漢方薬のようなもので、即効性はありません。結局、投資の優良案件は出尽くし感があり、投資主導の成長は限界に来ている今の支那に、7%という成長目標自体が高すぎるのです。