エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

AIIB騒動は天恵

 東洋史の泰斗、岡田英弘先生は、我が国が本当の意味での統一国家を成立させたきっかけが当時の大陸における大帝国である唐との戦いと敗戦だったと述べておられます(日本人のための歴史学 275頁)。その戦いとは、663年、唐帝国及び半島を統一した新羅の連合軍と倭国水軍が争った白村江の戦いであり、この戦に敗れた倭国は、唐帝国の脅威にさらされることになり、急速に国防の意識を高めてゆきます。当時、国内に様々な種族をかかえた状態にあった倭国は、一氣に統一国家へと歩を進めて行くことになるのです。

 大陸からの脅威に対抗して、再び国防意識が最高潮に達したと思われるのが、白村江の戦いから数百年後、1274年文永の役と1281年弘安の役で、このときは、元帝国及び高麗軍の来襲(元寇)に対して、執権北条時宗を棟梁とする鎌倉武士たちは、文字通り一丸となって外敵の侵入をはね返すことに成功します。

 そして、ここ数年においても大陸勢力の脅威が、我が国の行く末に大きく影響を及ぼしそうな国際情勢になってきていると思われます。ごく最近持ち上がってきたAIIB騒動では、「我が国の外交的敗北」、「国際社会における日本の孤立」という論調が喧しく巷というか、新聞やテレビなどで報じられているように感じます。無邪気にこういった主張に同調して、国の行く末を心配している風の知恵の足りない連中はさておき、意図的に世論を操作しようと試みる確信犯は何を目論んでいるのやら、危ない状況は続いています。

 しかし、実際には、正論を盾にしてこのAIIB騒動に一切乗らないという政府の選択は、最高の妙手だったようです。その効果は、即効で既にこんなところに出てきています。

韓国政府が発行の慰安婦証言集、米国の政治家が続々と受け取り拒否・・韓国ネットは「国際社会での現実」「あれだけ米国の子分をやってきたのに…」
 12日の韓国・クキニュースによると、韓国政府が発行し、配布を進めている初の慰安婦被害者口述記録集「トゥリナヨ(聞こえますか)」が、米国の政治家に続々と受け取りを拒否されているという。

 記事によると、冊子は「日本軍の従軍慰安婦の真実を知らせる」目的で、韓国政府と民間が共同で作成したもの。ハングル語版のほか英語版も作成し、米国などに広く配布する計画だという。ところが、英語版の米国での配布を担当する韓国系企業「メディア・ジョア」のハン・ジス代表が11日、「英語版を配布する過程で、少なくない米政治家にきっぱりと本を拒絶され、非常に驚いている」と明かしたのだ。

 同社は「トゥリナヨ」英語版2万冊を米国とカナダの学校や図書館、主な政治家らに配布することになっている。特に政治家には、発行の趣旨を強調するため、ただ発送するだけではなく、政治家が参加するイベント会場にハン代表が持参して手渡す方式をとっているのだという。だが、「保守的な共和党議員の多くは最初から遠慮なく拒絶するし、民主党議員でも一部は納得できない理由で本を拒絶している」(ハン代表)のだという。配偶者が韓国人のアジア系下院議員も「公人として民間が配布する本は受け取れない」と拒絶したという。

米財務省、韓国の不透明な“為替介入”を猛批判 “手口”まで世界に暴露
 米財務省が韓国の不透明な為替介入を世界に暴露した。輸出の不振で経済が低迷するなか、ウォン高阻止のため、先進国はもちろん新興国でもやらないような巨額介入を秘密裏に行ったと指摘、朴槿恵(パク・クネ)政権による対日本円でのウォン高対策も批判した。日本の円安が容認される一方、為替介入で悪名高い中国よりも強いトーンで指弾されるなどさらし者になった韓国では、アジアインフラ投資銀行(AIIB)をめぐる米国の意趣返し、との陰謀論まで出るなど動揺を隠せない。

 報告書は米財務省が議会向けに半年に一度提出しているもので、各国の経済状況や為替政策について言及している。これまでの報告書で毎回やり玉に上がるのは中国だ。今回も、制裁の対象となる「為替操作国」への認定こそ見送ったが、人民元が「著しく過小評価されている」との見解を維持した。ただ今回の報告書で中国よりも厳しく批判されたのは韓国だ。韓国に関する項目では、「韓国は公式には市場で為替レートを決めている」「2013年2月には他のG20(20カ国・地域)諸国と同様に、為替レートをターゲットとした意図的な通貨切り下げ競争はしないことを約束した」と前置きしたうえで、実際には韓国当局がウォン高を阻止する形で為替介入を行っていると指摘した。

産経前支局長が帰国=出国禁止措置解除で−東京・羽田
 韓国の朴槿恵大統領の名誉を毀損(きそん)したとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(48)を乗せた航空機が14日夜、東京・羽田空港に到着した。昨年8月に出国禁止措置が出され、約8カ月ぶりに解除された後、初の帰国となった。出国禁止措置は繰り返し延長されたが、今月15日の期限を前に14日、解除された。

麻生財務相の「参加見送り」見解、中国メディアは未練たらたら・・・「日本国内でもAIIB参加すべきの声」と報じる

中国メディアの新華社は15日、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本の参加の是非をめぐって日本の一部の政治家や学者に対して取材を行ったことを紹介し、「日本政府は早くAIIBに参加するよう」求める声があったと報じた。日本政府の同行への不参加について、麻生太郎財務相は「不透明な部分が残る」などの説明を繰り返している。

 記事は前衆議院議員で元財務相藤井裕久氏が「日本はAIIBに参加すべき」と述べ、その理由として「土木・建築業をはじめとする日本のインフラ産業にプラスの影響がある」ことを挙げたことを紹介した。さらに藤井氏が「各国が友好関係を構築することが平和への貢献につながる」と強調し、日本が中国をはじめとする他国と手を取り合い、アジアの発展に貢献する必要があるとの見方を示したと紹介した。

 続けて、元外務省国際情報局長の孫崎享氏が「日本にとってもっとも理想的な状態は、アジア各国が相互協力のもとで利益を得ること」と述べたことを紹介し、日本はさまざまな形で相互協力を強化すべきであり、その観点から「日本はAIIBにどの国よりも先に参加を宣言すべきだった」と述べたと報じた。

 また記事は、キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹(以下省略)