エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

ミニ・スーパーテューズデーを前に

 衰えたとはいえ世界の覇権国米国の元首を決める4年に一度のお祭りが大統領選挙です。世界の注目を一身に集めてしかるべきですが、今回は共和、民主両党で異例の候補者がここまで走り続けて、本流候補を脅かすという、これまでの選挙では見られなかった光景が展開しています。我が国の保守派の論客と言われている人たちがこれまでどのような見方を表明されてこられたか、ミニ・スーパーテューズデーを前にひとまずまとめておいても好いかと思い、以下にザックリしたまとめを試みてみました。

 まず、常日頃の三橋経済学の論調と一緒で、微動だにぶれていないのが、三橋貴明氏の見方です。三橋氏は、民主党ではHillary、共和党ではMarco Rubioが代表ですが、Tea PartyといわれるTed CruzもJohn R. Kasichも伝統的な勢力からの大統領候補であり、そういった筋の献金を受けて選挙を戦っている以上、グローバリズム勢力の利権を守るための政策を推進するという点において誰が大統領に選ばれても大差はないと考えています。一方、反グローバリズムを掲げて戦い、格差是正、反ヲール街を主張しているのがユダヤ系のBernie Sanders候補であり、反グローバリズム、移民規制強化などナショナリズム的主張で共和党の本流候補たちを圧倒してきたのがDonald Trump候補です。前者は草の根からのカンパで戦い、後者は超大金持ちなので自己資金で戦うことで、利権勢力からの献金に依存していないということから、1990年代あたりから米国の国家政策となってきたグローバリズムに政策転換を強いることができるのではないかと考えておられるようです。

 もう一人、グローバリズムナショナリズムの戦いという見方をされておられるのは、外務省OBの馬淵睦夫氏です。しかし、ここに来て、Trumpは決して共和党主流派に対する露骨な批判はしていないし、Rubioの反Trump的な姿勢に変化の兆しが見えてきたという渡邉哲也氏の指摘もあり、Trump優勢の中、共和党内の主流派がどのような動きを見せるかは、いまだに予断を許さないようです。

 米国には太い人脈を持っていると思われる青山繁晴氏の場合、どうしても米国の主流派やエスタブリッシュメントの意見が反映されてしまうのか、Trump氏は不適格者と決めつけています。また、Cruz候補は喧嘩屋で敵が多すぎ、Rubio候補は八方美人に過ぎ、いずれも大統領にピタリとおさまる人格者ではなく、かといってHillaryは、自ら国務長官として推進したTPPに今頃になって賛成できないというような信念の無さを露呈しており、到底大統領の器ではないということで、相応しい人物が1人も立候補していない大統領選挙との結論にいたります。

 上念司氏は、自身の短期留学中の下宿先がキューバ系米国人家庭だった個人的体験もあってなのか、保守本流の候補としてRubio推しをしていましたが、ミニ・スーパーテューズデーに敗れれば、同氏は撤退するという見方が広がっているようです。

 面白い見方をしているのは、関岡英之氏です。氏によれは、米国の支配層の中でWASPは少数派になっており、Trumpを推しているのはWASP復権を望む勢力であったり、草の根の白人の思いでもあるのではないかというのです。実際、関岡氏の調べによれば、現在の上下両院の議長はカソリック系であり、最高裁判事カソリックユダヤ教の信者が占めているとのことでした。Trump候補の勢いが一向に衰えない一つの理由がこれなのかもしれません。