エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

トリレンマのお話

 トリレンマ(=Impossible trinity、あるいはThe trilemma)トリレンマというのはやや和臭がするので、英語を話すときはImpossible trinityといっておくのが無難かもしれません。有名な国際金融のトリレンマというのは、国際金融政策において、資本移動の自由、固定相場制及び金融政策の自由という三つの政策を同時に実現することができないことを指すもので、マンデルフレミングモデルのロバート・マンデルによって提示された説であるとのことです。例えばEURO圏に属する各国、圏内の資本移動は完全自由化、そして国が違うのにEUROという統一通貨を使っています。しかし、各国の中央銀行に金融政策を行う自由は認められておりません。

 昨今は、グローバリゼーションのトリレンマということも言われだしているようです。すなわち、人、モノ、お金の国境を取り払うグローバリゼーション、民主主義及び国民主権の鼎立はできないという話です。これまた、2016年6月のBrexitを決めた英国国民投票が、EUから主権を取り戻す決定であったことが想起されます。

 これらから着想を得て、作家の三橋貴明氏が唱えだしたのが、移民政策のトリレンマです。外国移民の受入れ、治安維持及び国民の自由の三つは鼎立しないという説です。確かに、米国の治安の悪さ、そして、一時移民を積極的に受け入れた欧州の混乱と同じく移民国家でありながら治安の良いシンガポールの現実を想起して比較してみれば、この説はかなりの程度的を射ていることが分かります。


(1)国際金融のトリレンマ
 資本移動の自由、固定相場制、金融政策の自由

(2)グローバリゼーションのトリレンマ
 グローバリゼーション、民主主義、国民主権

(3)移民政策のトリレンマ
 外国移民の受入れ、治安維持、国民の自由