エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

Jim Rogers 9月2日講演

Jim Rogersの名を知ったのは、10年余り昔、Jack Schwager「マーケットの魔術師」を読んだ時です。Day Traderの対極に位置する長期投資家であり、あのGeorge Sorosの右腕と言われた男等々。

2006年9月2日に東京で開催された今年三回目の講演の模様が、Netで無料配信されていたので、聴講してメモを残しておくことにした。

今後10〜15年の世界

1.中国の台頭

中国人は、現在最優秀の資本主義民族の一つ。即ち、貯蓄率が極めて高く、かつ、これを投資にまわす。休むことではなく、働くことに関心がある。高成長が時に後退することは有り得るが、大きな流れは止められない。19世紀は英国の、20世紀は米国、21世紀は中国の世紀となるだろう。

この中国を含めた亜細亜地域には、30億人の人口が住んでおり、かつてに比してより多くの人が生活の向上を求めるようになった。日本は、この地域に位置し、輸出先も対米依存から亜細亜地域にうまく転換してきており、日本の株式市場は少なくとも今後数年間かは、欧米に比べ良好に推移するだろう。

2.USDの下落

1987年まで、米国は対外債権を有していたが、今では8兆ドルを超える対外債務国となった。更に1兆ドルが15ヶ月経つ度に加算されていく状況。つまり、最早、制御不能の状態なのだ。

また、Fedの金融政策はMarketを制御するのではなく、それに追随するだけになっており、現Fed議長は、長年紙幣を刷ることを主張してきた人物。Fedの金融政策には、それ程注意を向けていなくても良いと思っている。

3.商品価格の上昇

債券に投資して儲かる時代は、2003年に終了した。株式も少なくとも欧米では、割高水準に達している。しかし、天然資源(商品市場)は、上昇局面であり、過去の経験則から言えば、15年から23年は続くと考えられる。

例えば原油について言えば、大規模油田の発見は、1970年以前に遡る。かつて輸出国であった中国、Indonesiaは、現在石油を輸入している。Alaska、Mexico、北海、Malaysiaなどの油田が枯渇するのも時間の問題なのだ。Saudiは、1988年に初めて埋蔵量が2,600億Barrelと公表したが、これが2006年まで全然変わっていない。この数字は一体何なのか???

こうして見ていくと、原油は今後USD100/barrel、金はUSD1,000/ounceを超えてもおかしくない。

5.印度には投資しない

企業家精神、Infrastructure、保護主義的傾向、教育制度などに問題が残っており、かつ、これらのことは、この20年間印度の政治家が自分たちで言及してきたことだが、改善していない。

6.露西亜にも懐疑的

確かに産油国で潤ってはいる。しかし、旧USSRが15の国に分裂し、露西亜内にも多くの少数民族を抱え、更なる分裂を続けるのは明らかだと思う。また、資本主義の国になったといっても、無法者の資本主義で、英国のSoccerを買収するなど、資金が国内投資に向かわず、海外に逃げている。

7.Euroにも懐疑的

15年くらいは生き残るだろう。しかし、域内で健全財政を維持し、健全な共通通貨を生み出そうと言う当初の理想は、早くも政治家によって捻じ曲げられている。

と言うような内容で、断片的に読み聞きしてきたここ数年の氏の主張の繰り返しではあったが、生の声を聞くとやはり感化されるのか。中国語と商品市場の勉強でも始めてみるかと本気で思った。