エウレカ徒然備忘録

時事報道への感想を中心に、ときにアニメDVDを使った英語学習法などを徒然書いています

ゼーガペイン“Zegapain”と量子論-その2-

 Zegaは、第23話「沈まない月」まで鑑賞しました。Anti-Zegaの攻撃を受け転送中にDataを喪失して消滅してしまう守凪了子。かろうじて再生されるも感情領域をAltairの中に取り込まれ、Zegaに搭乗する時だけしか京とまともな会話が出来なくなってしまう了子。救いようのない悲惨な設定はZegaの十八番の一つですが、このあたりの展開を捕らえて、Zegaは守凪了子の物語でもあると言うのも頷けます。

 また、量子Serverが見る夢のような存在である「幻体」になった人間がまた夢を見ると言う話や人類が滅亡した現実世界と舞浜Serverの中のVirtualな世界を行き来する京が、現実を知らずにServerの中で本気で生きているカワグチ等と作り物の世界であるということを知ってしまいVirtualな舞浜では真剣になれなくなった自分を比べて、一体どちらが本当に生きていると言えるのか悩んだり、量子論的な主題もしっかりと押さえていました。

 私自身は、GardsormのServerの中でNagaと対決する京が言い放った捨て台詞、Nagaの御託は分からないが、俺の拳が、俺の上腕二頭筋が、そして俺の魂が、お前のことが大嫌いだと言ってるんだ、この辺りが臭くてZegaらしさ丸出しで好きでした。逆説的には、正にこの点が主人公のくせに公式HPの人気投票で5位に低迷する十凍京の本領でもあるなと痛感してしまいます。

 さて、話は変わって、量子論に首までつかりながら、Einsteinと同様最後まで量子論の展開に反対の立場をとったSchrodingerの有名な思考実験「Schrodingerの猫」(1935年)について以下にまとめておきます。

1.鉄製の箱の中に放射性物質放射線の検出器、検出器に連動した毒ガス発生装置をおく。放射性物質原子核崩壊を起こすと放射線を放出する。検出器は放射線を検出すると信号を毒ガス発生装置に送ることになっている。

2.この箱の中に生きた猫を入れる。もし放射性物質が崩壊して放射線が出れば猫は毒ガスで死に、放射性物質が崩壊しなければ猫は生き残る。

3.箱の中に猫を入れて蓋を閉じる。外からは内部の様子も中の音も一切窺い知ることは出来ないものとする。こうして1時間の時が経過した。

4.放射性物質原子核崩壊を起こすかどうかはミクロの世界の現象である。その確率が1時間の時の経過の中では50%だったとする。量子論によれば、観測をすれば、原子核の崩壊の有無は確定するが、観測の前であれば「原子核崩壊を起こした状態」と「原子核崩壊を起こしていない状態」が重ね合わせた状態になっていると言うことになる。

5.そうすると、猫の状態もその生死が原子核の崩壊と完全に連動していることからして、「原子核の崩壊が起きて死んだ状態」と「原子核の崩壊が起きずに生きている状態」が重ね合わさっている状態にある、と言うことがはたして言えるのか。「生きている状態と死んでいる状態が重ね合わさっている猫の状態が、観測によって生か死かどちら一方に決まる」と言う結論を量子論を信じるならば、受け入れざるを得ないのか。これが、この思考実験を通じて投げかけられた疑問である。

6.Copenhagen Interpretationの立場をとる主流派は、「一匹の猫は無数のミクロの物質が集まったものであり、無数の状態が組み合わさっていると言うことができる。このような対象に単純にSchrodinger方程式を適用して、重ね合わせや波の収縮など論ずることはできないのだ。」と応えるのが一般的。

7.「マクロの物質もミクロの構造を持つ以上、ミクロの原理を適用できないはずがない。」と言う再反論。

8.多世界的解釈の立場に拠れば、世界は可能性の分だけ複数に分かれていると考えればよい。「生きている猫を見る私たちがいる世界」と「死んでいる猫を見る私たちがいる世界」の2つに分かれているのだと考える。この立場では、波の収縮を放棄し、観測する前の電子もどこか一箇所に存在すると考える。その代わりに、私たちの知らぬうちに世界が「電子がA点にいる世界」、「電子がB点にいる世界」、「電子がX点にいる世界」などに枝分かれしている。つまり、1個の電子が「それぞれの場所にいる状態」が重なっているのではなく、「各1個の電子がいる複数の世界が」同時並行的に重なっていると考えるのである。

9.と言うことは、我々観測者自身もそれぞれの世界に枝分かれして存在していると言うことになる。⇒「並行宇宙論

 Parallel World、正にZegaやMatrixの世界が大真面目に語られているのでした。